分散コンピューティングで開発者が低遅延でコードを使用可能に
続いて話題は分散コンピューティングへと移った。開発者が分散コンピューティングに魅力を感じる点は、低遅延、スケーラビリティが得られること。これを実現しているのがアカマイのコンピューティングソリューション、EdgeWorkersとEdgeKVである。EdgeWorkersは分散型サーバーレスネットワーク。一方のEdgeKVは分散Key-Valueストアである。アカマイのプラットフォームでは130カ国以上、4100以上のロケーションにChrome V8のJavaScriptエンジンを展開し、開発者自身が作成したコードをエッジ上で使用できるようになっている。
アカマイが提供する分散コンピューティングを活用するメリットは、アプリケーションロジックをユーザーの近い位置で実行できること。低遅延が実現できる高い拡張性を持たせることもでき、突発的なトラフィックにも対応できるという特長を持つ。
EdgeWorkersとEdgeKVの活用例としては、パーソナライゼーション、A/Bテスト、CDNのトークン管理、動画マニュフェストファイルのコントロール、APIオーケストレーション、サードパーティインテグレーションなどが挙げられる。
すでに導入し、成果を上げている企業も登場している。ニッセンホールディングスはその一社。リコメンド商品を表示するAPIリクエストにおいて、ユーザー毎に商品の組み合わせが異なると、CDNキャッシュがヒットせず、表示の遅延が発生していたという。この課題を解決するためEdgeWorkersとEdgeKVを導入。具体的にはEdgeWorkersでAPIリクエストを解析処理し、CDNキャッシュに個別にヒットできるようにした。さらにEdgeKVに商品情報を蓄積することで、API処理をエッジにオフロードし、表示遅延の課題を解消したという。
またサードパーティインテグレーションの例として、EdgeWorkersとQueue-itの組み合わせを紹介。Queue-itは、アクセス集中による不具合発生を防ぐ仮想待合室ソリューションである。Peach Aviationではアクセス集中を避けるため、EdgeWorkersとQueue-itを導入。サイトのキャパシティを変えることなくパフォーマンス改善を実現したという。
アカマイではさらに未来を見据え、ユニークな取り組みをしていくという。その一つが、Geckoというコードネームで呼んでいるソリューション。エッジローケーションでより多くのバーチャルマシンやコンテナを動かせるような仕掛けを考えているという。「レイテンシーに敏感なアプリケーション開発をしている人にとって、よりメリットを享受できるような仕組みを提供していく予定」と金児氏は力強く語る。ゲーミングではゲームサーバーの立ち上げ、ソーシャルメディアであればユーザーのライブ映像やWebRTC、メディアであればライブストリーミング、AIであればエッジ上で推論の実現が可能になるという。
ポータビリティを推進したい方、また低レイテンシーを実現する分散コンピューティングを実践したい方は、開発者目線で設計されているAkamai Connected Cloudを試してみてはどうか。