2024年、生成AIの登場でアプリケーション開発とセキュリティはどう変わったのか
今回の調査では、ソフトウェア開発者、アプリケーションセキュリティ専門家、CISO、DevOpsエンジニアなどを含む世界中のITプロフェッショナル1000人以上を対象に実施された。IT以外にも金融や教育、ヘルスケア、輸送など多岐にわたる業界の現状を反映している。
まず特筆すべきは、回答者の91%以上がコード作成にAIツールを使用している点だろう。この結果を地域別に見ると、最も多かったのが米国と中国で97%。日本は60%にとどまり、突出して低い。松岡氏はその理由として「石橋をたたいても渡らない人が多い、文化的な側面が強く出ているのでは」と考察した。
生成AIの活用は、業務効率を大幅に高める一方で、セキュリティへの懸念も浮上している。今回の調査でも、67%の回答者がAI生成コードのセキュリティ確保に懸念を示し、85%が何らかの対策を講じていると答えたものの、「強い自信がある」と述べた回答者はわずか24%にとどまった。
この24%の回答者の自信はどこから来るものなのだろう? この点に関して、松岡氏は生成AIが提案するコードの多くがOSSを基にしていることを指摘した。これまでは開発者がOSSから必要なコードを参照し、改変してアプリケーションに組み込んできた。それをAIによって効率的に行う時代になったということだ。よって、AIによるコード生成のセキュリティリスクは、OSSのものをそのまま引き継いでいると考えることができる。
「この24%の方たちは、既に自社のツールやプロセスにOSSを組み込んだときに十分な対処ができており、これがAIになっても変わらないと強く思ってらっしゃるということ。AIが生成するコードと世の中で広く使われているOSSのコードの接続点が数字として表れていると思いました」(松岡氏)