日本企業で働きながらグローバルなビジネスに挑戦する方法
村田氏は、国際感覚を持つソフトウェアエンジニアのキャリア形成について、「グローバルにキャリアを築くには、さまざまな方法がある」と述べ、世界市場と国内市場を縦軸、本部が海外か、本部が国内かを横軸とする4つの象限で整理した。

実際に海外に出て現地の企業で働く道もあれば、国内にいながら外資系企業の日本法人で働く選択肢もある。また、日本発のグローバル企業に所属して活躍するという道もある。
村田氏は今回の講演に向け、参加者が理想とするキャリアについて調査したところ、日本企業で働きたいと考える人が多いことがわかったという。ただ、その多くは国内市場にとどまるのではなく、グローバルなビジネスに関わりたいと考える人が多かった。

村田氏は「いきなり海外に行ったり、外資系企業に転職したりするのはハードルが高いと感じる一方で、日本発のグローバル企業なら挑戦しやすいと考える人が多いのではないか」と分析する。
ファーストリテイリングは、日本発のグローバル企業というポジションにある。村田氏は同社のような企業でのキャリア形成には3つの特徴があると述べた。
1つ目は、主要なプロジェクトや意思決定に関われる点だ。日本発のグローバル企業は本部が国内にあるため、戦略的な決定が日本で行われることが多い。村田氏は「グローバルに展開する企業の中枢で、影響力のあるプロジェクトや意思決定に関わる機会を得られるのは大きな強み」と語る。
2つ目は、仕事を通じて効率よく語学を習得できる点だ。グローバルビジネスにおいて英語の必要性を感じる人は多いが、日本発の企業であればプロジェクトの中で自然と英語を学ぶ機会がある。「日本発のグローバル企業では、プロジェクトで英語が必要になるため、仕事をしながら学ぶ環境が整っている。さらに、社内には日本語がわかるメンバーも多く、フォローアップ体制も十分にある」と村田氏は説明する。ファーストリテイリングには英語がほとんど話せなかったエンジニアが、プロジェクトを通じて上達していく例が数多くある。
3つ目は、日本の文化的特性を活かせる点だ。例えば、ソフトウェア開発の文脈においても、規律を守ることを重視する日本の文化的傾向が武器になる。村田氏は「コーディング規約の遵守や、本番作業の手順の徹底、テストの実施など、細部にわたる正確性が求められる場面で強みを発揮できる」と述べた。また日本の文化には「全体」や「調和」に対する意識が強いという特徴もある。要求仕様が曖昧な場合でも、単に受け付けないのではなく、意図をくみ取って適切な提案を行うことが得意だという。さらに、近年のソフトウェア開発では、物事を部分に分解して理解するという要素還元主義だけでは解決できない、複雑なシステムの設計が求められる場面が増えている。村田氏は「全体を見渡し、調和を図る姿勢は、こうした複雑なシステムを扱う上で大きな強みになる」と強調した。
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