「高校3年生の約7割」というデータは、以下の資料に基づいています。
先生が忙しすぎる──現場の課題が、AIサービス開発の原点に
50年以上の歴史を持つマイナビの事業領域は幅広い。キャリアデザイン・HR・ヘルスケア&ウェルネス・人材派遣BPO・メディア&サービス・海外の6つのセグメントに分かれ、就職・転職・進学などの人材情報サービスをはじめ、多数のサービスを展開している。なかでも海外セグメントに属するDXデザイン事業では、ベトナムに拠点を構えオフショア開発に取り組んでいる。

このように多様な社会課題の解決に向けてアプローチを進めるマイナビだが、なぜAIを用いた面接指導に着目し、高校生向けの動画面接練習サービスをつくろうと考えたのか。その背景には、高校現場の進路指導を取り巻く環境の変化があるとして、マイナビで高校生向け商品・サービスの企画・運用に携わる川原氏は、次の2点を根拠に挙げた。
- 総合型選抜や学校推薦型選抜など、面接を含む非学力試験で大学進学する人が半分以上を占める
- 高校3年生の約7割の生徒が、面接や書類・小論文で進路を決定する

進路決定において面接力が重要な役割を果たすにもかかわらず、日頃、勉強に励む生徒にとっては、慣れない面接に「話がまとまらない」「うまく話せない」「改善点がわからない」といった難しさがつきまとう。他方、指導にあたる教員にとっても、一人ひとりの面接指導に時間を割くのは、大きな負担となっている現状がある。
「今後も非学力試験によって年内に進路を決める傾向は拡大する見込みであり、生徒・教員双方が抱える課題を解決することで、『年内入試の支援に強いマイナビ』ブランドの確立を目指したいと考えた」(川原氏)
こうした高校現場の課題を聞いたAI戦略チームの三木氏は、「AIで解決できるのではないか」と直感したという。「相談を受けたのが、音声認識技術に加え、文字起こし処理やラベリング処理など、AIで課題解決するためのパーツが揃ってきているタイミングであり、教育現場のニーズと技術側のシーズがきれいにはまった瞬間だった」。

とはいえ、最初から自社開発による内製を決めていたわけではない。次に、プロダクト開発に及ぶ意思決定の裏側を見ていこう。