Flutterや.NET MAUIにも対応したSDKでアプリ開発も容易に
スキャンディットを自社アプリに実装する方法は3つ。1つはネイティブアプリ用の「Scandit Barcode Scanner SDK」を使用する方法。「Flutterや.NET MAUIなどはじめ、マルチプラットフォーム対応のフレームワークにも対応しているので、OSを意識することなくアプリの開発ができます」と秋谷氏は語る(対応するフレームワーク一覧)。
2つ目はウェブアプリ向けSDKを使用する方法だ。「今あるWebの業務アプリに当社のライブラリを入れ込むことで、OSを選ぶことなくスキャンディットのエンジンが使えるようになります」秋谷氏は言う。さらにウェブアプリでも、ネイティブと同等の精度・パフォーマンスを発揮することはスキャンディットの大きな強みだ。
3つ目は「Scandit Express(スキャンディットエクスプレス)」として組み込む方法。これや秋谷氏曰く「キーボードアプリのようなもの」とのこと。キーボードアプリをインストールするのと同じように、Scandit Expressをデバイスにインストールし、設定するだけで使えるようになるという。
「一般消費者向けのアプリに組み込むのなら、ネイティブSDKが良いと思います。一方で業務アプリならネイティブ、Webのどちらでも良いでしょう。ですが、通信環境が良くない、オフラインでも使いたいのであれば、ネイティブがおすすめです。予算やスケジュール、状況などに応じて、柔軟に対応できるのも特長だと思います」(秋谷氏)
これらの方法を使ってスキャンディットを組み込み、さらなる設定の微調整が必要な場合が生じても、同社のエンタープライズサポートチームが対応してくれるという。実際に前述のレジゴーでは、スマホをショッピングカートに取り付けて利用するため、当初はカゴの縁が画角に入っていたという。それをエンタープライズサポートチームに伝えたところ、カゴの縁が画角に入らないようソフトで微調整を行い解決した。
「例えばある程度までつくったものの、もう少し細かい設定をしたいという場合は、当社でサンプルコンフィグをつくり提供します。その他、特定の場面でうまくいかない場合のコードの相談やレビューなどにも対応するなど、サポートの手厚さには自信があります」(秋谷氏)
エンタープライズサポートチームは本社(スイス)にあるが、日本語でできるのも心強い。サポートからの返信も翌日、遅くても翌々日には来るという。「悩んでいるのであれば、まずはサポートに問い合わせ、開発工数の削減につなげてほしいです」(秋谷氏)
共にスキャンから始まる体験を進化させるために
実際、スキャンディットを導入した企業では業務効率の削減に繋げている。例えばスーパーマーケットを展開するオーケーでは、ネットスーパーのピッキング業務に活用。従来、紙のリストを使ったピッキングでは1商品当たり5秒かかっていたところ、アプリでは2秒に短縮。ピッキングミスもほぼ0になったという。
またヤマト運輸では配送パートナーが使用する業務アプリにスキャンディットを導入することで、トラックの積み込み作業時間を従来の3分の1に削減したという。
そして、現在は流通や物流、製造業以外にも、トレーサビリティが必要な医療や製薬業界、パスポートのスキャンなど観光業界などでもスマートデータキャプチャ技術の利用が求められていると言う。
「バーコードスキャン専用のデバイスにも、OSにAndroidが使われているなど、スマホとの境目がなくなってきています。加えてスマホの方が専用端末より、利用に対する心理的ハードルが低い。それから考えても、今後はますますバーコードを読み取る機器としてスマホを使われるケースが増えてくると思います。
スキャンディットであれば、容易に読み取り機能を自社のアプリに組み込むことができます。そういうアプリの開発を検討しているのであれば、一度、ぜひ試してみてほしいですね。スキャンディットでは、無料のデモアプリ、無料トライアル、無料ドキュメンテーションもご用意しています」(秋谷氏)
スキャンディットはあくまでも要素技術である。組み込んだアプリを開発するのは容易にできても、業務効率化や使い勝手の良さなどにつなげるには開発者の知恵が必要だ。例えば複数のバーコードスキャンによって、取得した異なるデータをどうデータベースの適材適所に入力し、管理するのか。そこにはシステム側の調整が必要になる。特にARの活用については、「開発者が考えるべきことがたくさんある。それが面白いところだと思います」(秋谷氏)

