NTTドコモ流「共用Organization」によるガバナンス
イベントの後半では、NTTドコモ R&Dイノベーション本部 サービスイノベーション部 クラウドソリューション担当部長 チーフ・クラウド・アーキテクトの森谷優貴氏が登壇し、同社グループにおけるGitHubおよびGitHub Copilotの大規模な活用事例を紹介した。森谷氏がリードするCCoE(Cloud Center of Excellence)は、NTTドコモおよびグループ会社に対し、クラウド環境や共通基盤を一元的に提供・管理する組織であり、開発環境の契約からサポート、費用処理までを一手に引き受けることで、グループ全体のクラウド活用を推進している。
大規模組織がGitHubを利用する際、部門やプロジェクトごとに「Organization(組織)」を分割して管理するケースが散見されるが、NTTドコモでは原則として「共用Organization」を利用する方針をとっている。森谷氏はその理由として、組織やプロジェクトを横断してコードを検索・参照できる環境を作ることで「車輪の再発明」を防ぎ、組織の壁を超えたコラボレーション(InnerSource)を醸成するためだと説明した。また、セキュリティポリシーを統一的に適用できるため、管理・運用コストの削減にもつながり、管理者と利用者の双方にメリットがある運用形態だという。
現在、同グループのGitHub利用者数は6,334名(2025年11月17日時点)にのぼるが、そのうち約3分の2にあたる4,221名が共用Organizationを利用しており、リポジトリ数で見ると全体の約90%が集約されている。なお、機密情報を扱う場合はPrivateリポジトリを利用するものの、原則は社内で閲覧可能なInternalリポジトリを推奨し、Publicリポジトリの利用は禁止することで、情報の透明性とセキュリティのバランスを保っている。
