レポートの出力
パフォーマンス分析を行って得られたレポートは、CSV形式またはXML形式にエクスポートすることができます。レポートを出力するには、パフォーマンスセッション内に表示されているレポート(.vsp)を右クリックし、[レポートのエクスポート]を選択します。
表示されるレポートのエクスポートダイアログでエクスポートするデータ種類やエクスポート先、ファイル形式を選択します。[エクスポ]となっているのはご愛嬌ということにして押してしまいましょう。
エクスポートされたXMLやCSVをそのまま閲覧するのはかなり困難を極めますが、例えばXSLTを利用したり、独自のアプリケーションを構築して読み込ませたりといった応用的な使い方のために利用することができます。
プロファイル方法
ここまで最も簡単な方法でパフォーマンス分析を実行し、その結果を確認する方法を紹介しました。ご理解いただけたでしょうか。前述の説明の中でも時折、サンプリングやインストルメンテーションという言葉が登場していましたが、パフォーマンスプロファイラには2種類のプロファイリング方法が用意されています。このそれぞれをサンプリング、インストルメンテーションと呼んでいます。
サンプリング
サンプリング方式はアプリケーションに特別な変更を加えることなく、パフォーマンスデータを収集する方法です。この方法では、アプリケーションに対して定期的な割り込みを発生させそのタイミングでデータの収集を行います。パフォーマンス分析の一部としてアプリケーションを起動して、操作を行うだけでデータの収集が行えるため、非常に簡単に実行することができます。
また、アプリケーションに対して特別大きな負荷をかけないため、オーバーヘッドが比較的小さく、後述のインストルメンテーションよりは実稼働に近い状態で動作させることができます。この方法のデメリットは、あらかじめ決められたサンプリング間隔ごとに定期的にデータ収集を行うため、サンプリング間隔が長い場合には関数の実行データが取得できない可能性があることです。しかし、間隔を短くしすぎてしまうとオーバーヘッドが大きくなるため注意が必要です。なお、サンプリング方式でのサンプリング間隔は表2に示す4つから選択することができ、これらはサンプリングイベントと呼ばれます。
サンプリングイベント | サンプリング間隔の規定値 | 説明 |
クロックサイクル | 10,000,000 | 決められたサンプリング間隔のCPUクロックサイクル数ごとにサンプリングを行います。 |
ページフォールト | 10 | 決められたサンプリング間隔のページフォールト数ごとにサンプリングを行います。 |
システムコール | 10 | 決められたサンプリング間隔のシステムコール数ごとにサンプリングを行います。 |
パフォーマンスカウンタ | 1,000,000 | 決められたサンプリング間隔のパフォーマンスカウンタ数ごとにサンプリングを行います。 |
サンプリングイベントしてパフォーマンスカウンタを選択した場合には、さらにどのカウンタを基にするかを選択する必要があります。
インストルメンテーション
インストルメンテーション方式はプロファイリング実行時に、アプリケーションにプローブというものを追加し、パフォーマンスデータを収集する方法です。この方法では関数の開始、終了部分にプローブと呼ばれるものが自動的に挿入され、プローブからの情報をもとにデータの収集を行います。
このため、サンプリングと比較してより詳細で正確な情報が取得できますが、関数の実行ごとにプローブを通したデータ収集処理が行われるため、オーバーヘッドは大きくなります。また、個々の関数に対してプローブを設定するため、コンパイラの最適化オプションによってインライン関数になってしまうものにはプローブが設定されません。インライン関数の展開を行うことでプローブの設定は可能ですが、最適化に影響がでるためどちらを取るかは慎重に選択してください。