基調講演とM17N
日本Ruby会議 2008 初日午後のメインセッションでは、まつもとゆきひろ氏による基調講演に続いて、成瀬ゆい氏とMartin J. Durst氏によるRuby 1.9から取り入れられたM17Nについてのセッション(Ruby M17NRuby M17N)が行われた。
まつもと氏は、Rubyの特徴として次の4点を挙げた。
- 温故知新
- Lispに由来するメタプログラミング
- Smalltalkに由来するOOP
- Unixに由来するPOSIX API偏重
- Feeling Matters
- Agility Matters
- Ruby on Rails
なお、Ruby自身の3点目については、2日目に行われた田中氏によるセッション――『matzを説得する方法』の内容を加味する必要がある。当然であるが、要求には誤っているものや問題とならないもの、あるいは正当であってもそうは見えないものがあるからだ。
また、2点目に挙げられたFeeling Mattersについては、2006年度のRuby会議での同じく田中氏による『使いやすいライブラリ API デザイン』が参考になると思う。
さらに、セッションの間中、氏はMagLevというRailsConfで彗星のように登場した異なるRuby実装について常に言及していたが、その理由として、
- Rubyの原点の1つであるSmalltalkの実装に密に関連している
- どこまで本当か不明な驚異的な速度
- バックエンドのOODBの存在
を挙げた。
人によっては別の見方もあるだろうが、筆者は、まつもと氏のSmalltalkやLisp、およびDHHへの言及にみられるFeeling Mattersが好きだ。
続くM17Nのセッションについては、Ruby 1.9でのString
クラスのメソッドの追加や実利的な内容の他、会場からの質問によって仕様の検討が始まるなどの俊敏性が興味深かった。