教育用言語としてみたRubyへの切ない願い
その他、教育用言語として、次のような使いにくさ(しかし、他の分野での利用を考えると仕方がないとは思える)を指摘された。
標準グラフィックライブラリの欠如
Rubyには標準的なライブラリがない。
添付ライブラリとしてTkがあるか、WindowsでTkを使うことはそれほど一般的ではない。
Floatクラスは64ビット浮動小数点数
計算誤差を示すのに、32ビット浮動小数点数を利用できない。
Integerクラスは自動的にFixnumからBignumへ格上げされる
本来定数時間となる処理が、途中でBignumとなるため、計算が合わなくなる。
型宣言がない
データ構造を示したいのだが、うまくできない。例えばクラスの場合、インスタンス変数をフィールドとして表現することができない。Structを利用するとフィールドは作れるが、データ型を示す方法がない。
このように、教育用にRubyを使うことにはメリットもあるが、落とし穴や解決不可能な使いにくさもある、と結論された。
教育関係のその他のセッション
教育関係のその他のセッションとして、吉田氏による『成功するRuby教育のプラクティス』と、Yugui氏による『RSpecによるRailsアプリケーションBDD』(slideshare)、および松田氏による『Ruby 技術者認定試験 模擬問題解説』が行われた。
Ruby教育のプラクティス
吉田氏のセッションでは、ペアプロとテスト駆動開発というアジャイル開発の手法が教育にも効果的だったという内容で、特に以下の点について会場から「なるほど」という声が上がっていた。
- ペアプロを利用すると実習時間を短縮できる
- テスト駆動開発の採用