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セッションレポート「エンバカデロ・テクノロジーズ DatabaseGearプロダクトオーバービュー」

第10回エンバカデロ・デベロッパーキャンプのセッションレポート

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 去る9月9日と11日。東京、大阪の2拠点で10回目となるエンバカデロ・デベロッパーキャンプが開催された。イベント冒頭に紹介された、エンバカデロ・テクノロジーズの現在の状況と、日本においては新たに登場することとなるDatabaseGear製品についてのセッション内容をレポートする。

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 去る9月9日と11日。東京、大阪の2拠点で10回目となるエンバカデロ・デベロッパーキャンプが開催された。これまで「CodeGearデベロッパーキャンプ」として3ヶ月に1回の頻度で開催されてきた開発者イベントが、エンバカデロという新しい名称でさらに発展した格好だ。

 冒頭、エンバカデロ・テクノロジーズ日本法人でマーケティングを担当する藤井氏より、エンバカデロ・テクノロジーズの現在の状況と、日本では新たに登場することとなるDatabaseGear製品について説明があった。この記事では、その概要をレポートする。

エンバカデロ・テクノロジーズ - コーポレートアップデート

エンバカデロのフォーカス

 ボーランドの開発ツール部門(CodeGear)とデータベース開発の独立系ツールベンダー「エンバカデロ・テクノロジーズ」が合併し、新生エンバカデロ・テクノロジーズとして活動を開始したのが2008年7月。それから2ヶ月あまりで、新体制の骨格が見えてきた。

 エンバカデロ・テクノロジーズは引き続き開発者にフォーカスし、CodeGearが従来よりフォーカスしてきたアプリケーション開発者と、エンバカデロが従来からフォーカスしてきたデータベースエンジニアの双方をサポートする。「実際のシステム開発では、この境界線はあいまいだ」とする藤井氏。両者のテクノロジーの融合は、このあいまいな境界線に発生する問題に対処するという。

引き続き展開するCodeGearブランド

 開発者にとって「ボーランド」というブランドは、長く開発ツールあるいはコンパイラ技術というイメージを抱かせてきた。開発ツール部門の分離が発表されて以来、同部門は「ボーランド」に代わる新しいブランドの確立を模索してきたが、「CodeGear」という新しいツールブランドが、ようやく立ち上がってきたというのが現状であろう。

 エンバカデロでは、この発展途上のブランドを継続しさらに発展させるため、すべてのエンバカデロ製品を2つのブランドの元にカテゴリー分けした。つまり、開発ツールブランドである「CodeGear」とデータベースツールブランドである「DatabaseGear」である。この2つのブランドの元に各製品の提供を継続していくとともに、両者を融合させた新しいテクノロジーを市場に投入していくとのことだ。

エンバカデロ製品ポートフォリオ
エンバカデロ製品ポートフォリオ

経営陣と日本法人

 エンバカデロはサンフランシスコに本拠を置き、世界で500名以上の従業員を抱える。同社は、投資会社Thoma Cressey Bravo傘下の非上場企業であるが、藤井氏は、「開発ツールビジネスは長期的な戦略に立って行わなければならず、短期的な収益を要求される今日の上場企業の体質には合わない」という。実際、エンバカデロは研究開発部門に大幅な投資を行って長期的な製品リリース計画を確実なものにしているが、これは今後のCodeGear製品についても当てはまるとのことだ。

 エンバカデロのCEOは、ウェイン・ウィリアムズ。経営陣には従来のCodeGearの経営スタッフも含まれており、両者が融合して経営に当たっている。日本法人はこの傘下で7月に新たに設立され、従来のCodeGearスタッフがすべて移籍し、従来からのCodeGear製品の販売・サポートを開始している。

 日本法人としては、DatabaseGear製品の本格的な市場投入はまだこれからという段階ではあるが、現在のビジネスを継続し確実に軌道に乗せることと、新規ビジネスの立ち上げ準備を並行して進めていくという。

DatabaseGear製品の概要

design it, build it, run it

 エンバカデロの各製品は「design it, build it, run it」という標語が表すように、「設計」「開発」「実行」の各フェーズをサポートする。DatabaseGear製品についても、この3つのカテゴリーに分類されており、それぞれ異なるユーザーをターゲットとしている。

設計フェーズのDatabaseGear製品

 設計フェーズの代表的な製品は「ER/Studio」である。ER/Studioは、データベースアプリケーションの論理モデル・物理モデルを分析、設計、作成、管理するための環境を提供する製品で、この製品だけは既に日本語化され日本市場でも実績を積んでおり、日本語版の販売・サポートは日揮情報ソフトウェアが担当している。

 ER/Studioは、アプリケーションの性能を左右するデータベース設計を確実に行うためのツールである。論理/物理モデルの設計をサポートし、モデルからスキーマを生成でき、フォワード/リバースエンジニアリングが可能だ。今日のシステムでは、データベース設計が固定的であることは珍しいが、変化する設計の中でも、その品質を確実なものにしていくことができる。

ER/Studio
ER/Studio

 ER/Studio日本語版の詳細情報は、こちらのサイトに掲載されている。

開発フェーズのDatabaseGear製品

 開発フェーズを主なターゲットとしている製品は、「PowerSQL」と「Rapid SQL」である。PowerSQLが、アプリケーション開発者向けのプロフェッショナルグレードのSQL開発ツールであるのに対し、Rapid SQLは、ビジュアル化によるSQL開発の効率性・簡便さを追求した製品である。

 PowerSQLは、EclipseベースのSQL開発ツールで、SQLの編集・実行、自動フォーマット、エラーチェック、データソース/オブジェクト/プロジェクト管理をサポートする。Eclipseベースということで、単独のSQL IDEとしてだけでなく、他のEclipseベースの開発ツールへのプラグインとしてSQL開発機能を強化するために利用できる。

 Rapid SQLは、グラフィカルオブジェクトエディタなどを搭載したリッチSQLプログラミング IDEである。ビジュアルツールによって、SQLコードの迅速な作成を支援する。いずれの製品も複数のデータベースをサポートするクロスプラットフォーム環境であり、複数のデータベース製品に対して、共有の操作で開発が可能だ。

実行フェーズのDatabaseGear製品

 実行フェーズでは、「DBArtisan」、「Change Manager」、「DB Optimizer」の3製品がある。DBArtisanは、クロスプラットフォームデータベース管理ソリューションで、複数のデータベースの管理タスクを共通のツールから実行できる。共通環境から、IBM DB2、 Oracle、MS SQL、MySQL、Sybaseといった複数のデータベースの可用性、パフォーマンス、セキュリティの管理を支援する。

DBArtisan
DBArtisan

 Change Managerは、データベースシステム向けの変更管理ソリューションである。データベースの変更管理は、昨今のコンプライアンス強化に伴い、重要なタスクとなっている。Change Managerでは、スキーマ、データに加えて、データベースの設定変更までを包括的に管理できる。

 DB Optimizerは、パフォーマンス効率の悪いSQLを発見・修正するためのデータベースパフォーマンス管理ソリューションだ。システムのパフォーマンス劣化の原因の多くはSQLにあると言われている。特に、実稼動フェーズに入ると、データ量の増大などから、パフォーマンスの影響が指数関数的に拡大する。

DB Optimizer
DB Optimizer

 DB Optimizerは、こうしたSQLに起因するパフォーマンス劣化の原因分析をグラフィカルビューにより可視化する。さらに、これを診断し、最適化までを支援する。

ビデオ - DB Optimizerの概要
 CDNtvでは、DatabaseGear製品の概要を紹介するオープニングセッションから、DB Optimizerについてデモンストレーションをビデオで配信している。DB Optimizerの概要を理解するのに最適だ。

DatabaseGear + CodeGearの取り組み

 駆け足で紹介してきたが、このようにDatabaseGearは、単独で利用するだけでもデータベース開発を効率化し、その品質を高めることができる。しかし、エンバカデロが進めるもう1つの価値の創出は、DatabaseGearとCodeGearの融合、つまりアプリケーション開発との融合にある。

 藤井氏は、この融合の取り組みを3つのフェーズによって示した。

第1フェーズ

 最初のフェーズは、CodeGear製品とDatabaseGear製品のゆるやかな連携だ。多くの企業向けアプリケーション開発では、データベースは必須だ。変更のサイクルが早くなっているからこそ、アプリケーション開発とデータベース開発の連携は欠かせない。「従来なら、データベースはそこにあるものとしてアプリケーション開発で利用していたが、もはやデータベースも日々変化するものとなってきている」

 こうした状況で、例えばER/Studioのような製品を利用する価値は高い。現時点では、両製品は緊密な連携を果たしていないが、対応するデータベースやプラットフォームを拡充し、連携のハウツーなどを提供することで、CodeGearの開発ツールを利用する開発者にとって有効なデータベース開発ツールとなる。具体的な例として、Delphi/C++Builder 2009 Architectのように、ER/Studio Developer Editionなどアプリケーション開発者向けに機能を限定したDatabaseGear製品を開発ツールにバンドルするケースが挙げられる。

第2フェーズ

 次のフェーズは、CodeGear製品とDatabaseGear製品の補完性のあるソリューションを提供することだ。例えば、先に紹介したDB Optimizerは、アプリケーション全体のパフォーマンス分析・修正のためのソリューションという視点で見た際にも、有効なツールとなる。

 Java向けには、従来Optimizeitとして知られてきたパフォーマンスツールがある。これは、エンバカデロで新たに「J Optimizer」として登場する予定だ。このJ Optimizerは、Java VMといった特定のJava環境のメモリ管理やスレッド管理といったレベルから、Javaアプリケーションサーバーの各コンテナ機能のレスポンス分析など、幅広いJavaのパフォーマンス分析に対応する。

 このツールとDB Optimizerを組み合わせれば、Javaアプリケーションのコンテナ上の動作から、その中で実行されるSQLの細部までドリルダウンして、詳細にパフォーマンス劣化の原因を特定することができるだろう。

 このように組み合わせによって、価値が高まる例はこのほかにもある。特に最近では、フレームワークによってデータベースアクセス部分を抽象化する開発手法が普及してきており、このようなケースでSQLに立ち返ってパフォーマンス分析ができることは重要だ。

第3フェーズ

 藤井氏は、「あくまでもディスカッションレベル」のアイデアとしながらも、第3のフェーズについて紹介した。例えば、PowerSQLのようなSQL支援機能は、すぐにでもCodeGearの開発ツールに取り込んで、開発フェーズでのSQLの取り扱いを効率化できるようにしたい。そのほかにも、開発サイクル全体を通して、さまざまな機能が相互補完的に機能強化に貢献するだけでなく、開発スタイルを大幅に変革するイノベーションを実現できるような組み合わせが考えられるかもしれない。

 DatabaseGearとCodeGearの融合の取り組みは、まさに今始まったばかりだ。開発者の生産性を高めるという課題に対し、両者の融合の成果が活かされるときを期待したい。

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https://codezine.jp/article/detail/3098 2008/10/03 14:28

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