「Elasticfox」(GUIツール)を使って「Amazon EC2」を操作する
ここまで「Amazon EC2」の操作はすべてコマンドラインベースで紹介してきました。そのため、利用に際して若干敷居が高いと感じている方もいるかと思います。
しかし、「Amazon S3」に「S3Fox」というFirefoxの拡張機能があったように、「Amazon EC2」にも「Elasticfox」と呼ばれる無料のFirefox拡張機能が存在します。この「Elasticfox」を使えば、「Amazon EC2」の基本操作をブラウザ(GUI)を使って行うことが可能となります。
2009年1月8日、Amazon Web Servicesから、ブラウザ上でAmazon EC2の管理・操作が可能となる「AWS Management Console」が公式に発表されました。まだベータ版ではありますが、以降で解説している「Elasticfox」と同様、Amazon EC2関連の各処理をGUIにて操作することができます。
「Elasticfox」のインストール・設定
「Elasticfox」はFirefoxの拡張機能のため、Firefoxがインストールされていることが前提となります。FirefoxからElasticfox Firefox Extension for Amazon EC2のページにアクセスし、[Download]ボタンをクリックしてください。すると、図2のようなダイアログが表示されます。
[今すぐインストール]をクリックし、インストール後、Firefoxを再起動します。再起動したら、上部メニューバーの[ツール]から[Elasticfox]をクリックし、「Elasticfox」を起動します。
起動後、まず左上部にある[Credentials]をクリックし、初期設定を行います(図3)。
すると、次のような「Manage EC2 Credentials」ウインドウが開きます(図4)。
「Account Name」は任意の文字列を入力し、自身のアカウントの「AWS Access Key」と「AWS Secret Access Key」を入力して、[Add]ボタンをクリックします。「Access Key」と「Secret Access Key」については、第2回の「アクセスキーの取得」で紹介した「Access Key ID」と「Secret Access Key」の値を入力してください。
以上で、「Elasticfox」の設定は完了です。
「Elasticfox」を利用してみよう
操作については、細かく説明せずとも、これまで本連載で取り上げてきたような各機能の概要や基本的な使い方を理解できていれば、直感的に操作できます。
例えば、図5はメイン画面である[AMIs and Instances]タブで表示される画面です。この画面では「Amazon EC2」で利用できるAMIの一覧(上部左側)と、現在稼動させているインスタンスの一覧(下部)が表示されています。
図5上部のAMI一覧は、これまでに紹介したec2-describe-images
コマンドで表示されるものと同じ内容ですが、各列でのソートが可能なため、こちらの方が見やすく感じると思います。また、気に入ったAMIがあればその行を右クリックして、[Launch instance(s) of this AMI]を選択することで、そのAMIからインスタンスを起動することもできます。
[Launch instance(s) of this AMI]をクリック後は図6のウィンドウが表示されます。インスタンスタイプや起動するインスタンス数、ログインに必要となるキーの指定や稼動ロケーションまで、コマンドラインで実行するのと同様にさまざまなオプションをつけ指定できます。
また、図5の下部に表示されているのは稼動しているインスタンスの一覧で、ec2-describe-instances
コマンドで表示される内容と同じものです。この画面についても、インスタンス(行)を選択して右クリックすることで、そのインスタンスに対して特定の操作が可能です。例えば、インスタンスの再起動や停止などを行うことができます。
その他にも、上部の各タブを使用すると、今回紹介した「固定IPアドレスの取得・割り当て」など、これまでコマンドラインで実行してきた作業をブラウザからより視覚的に確認/設定できます。コマンドラインから実行可能なオプションのすべてをこの「Elasticfox」で制御できるわけではありませんが、基本的な操作であれば「Elasticfox」でも十分です。
コマンドラインと比べて見やすく、かつ直感的に操作できるので、オススメです。
次回予告
今回は、「Amazon EC2」をより実践的に扱うためのオプションや、GUIで簡単に操作できるツールの利用手順を紹介しました。ここまでの連載内容で、「Amazon EC2」を使った基本的な利用手順はご理解いただけたかと思います。
次回は、「Amazon EC2」のインスタンスを停止してもデータが失われない「Amazon EBS」の活用方法や、「Amazon EC2」のデータを「Amazon S3」と同期する方法など、主にデータバックアップまわりの話題を取り上げる予定です。