はじめに
6月9日に開催された「Google Developer Day 2009」で、夷藤勇人氏と鵜飼文敏氏により「Javaで動かすGoogle App Engine」というセッションが講演されました。本稿では、その概要をお伝えします。
Google Developer Dayとは、Googleが主催する開発者向けのイベントです。例年、Google Japanのスタッフのみならず、世界中のオフィスからソフトウェアエンジニアやデベロッパーアドボケイト(advocate;支持者)、API Expert(Google認定のサードパーティエンジニア)が駆けつけて、Googleが関わる最新のテクノロジーのセッションが行われています。
セッションでは、前半で夷藤勇人氏がGoogle App Engineの概要を説明し、後半で鵜飼文敏氏がデータストアについて説明しました。
以下、罫線で囲んだ部分は、セッション中に表示されたスライドの内容を抜粋しています。
対象読者
- ウェブサービス開発に興味のあるJavaエンジニア
- Google App Engine for Javaに興味がある方
Google App Engineの役割
「Google App Engine」とは、GoogleのインフラでWebアプリを実行できるクラウドサービスで、2008年4月8日に最初のPython版が発表され、翌年の2009年4月7日にJavaへの対応が発表されました。
提供されるプラットフォームは、「ハードウェア」「ネットワーク」「OS」です。Python版では、Pythonランタイム、Djangoなどのサードパーティライブラリがサポートされており、Java版では、JVM、サーブレット・コンテナ、ライブラリがサポートされています。
Java版の詳細については、筆者の連載「Google App Engine for Javaを使ってみよう!」をご参照ください。
Google App Engineの特徴
やはり、最大の特徴はGoogleが実際に運用しているインフラの上で動き、特に設定することなく、必要に応じて自動的にスケーリングするという点ではないでしょうか。
直接関係者に聞いた事例では、とある学校法人で例年、教科書の申し込み受付初日に必ずダウンするウェブサービスがあり、Google App Engineにサービスを移行することで、サーバをダウンさせることなく、たったの8セント(支払いはUSドル建て)でシステムダウンを回避することができたそうです。ちなみに、この8セントはメールの送信容量を超えたために発生した料金です。
無料で利用できる範囲は以下のようになっており(2009年6月15日執筆時点)、これは月間約500万アクセス相当まで、無料で使える価格設定です。
リソース | 単位 |
レスポンス | 10ギガバイト |
リクエスト | 10ギガバイト |
CPU利用時間 | 46.3CPU時間 |
ストレージ | 1ギガバイト |
電子メール | 2,000通 |
リソース | 単位 | 単位当たりの費用 |
レスポンス | 1ギガバイト | $0.12 |
リクエスト | 1ギガバイト | $0.10 |
CPU利用時間 | 1CPU時間 | $0.10 |
ストレージ | ギガバイト・日 | $0.005 |
電子メール | 1通 | $0.0001 |