はじめに
Python 3.0、別名Python 3000、またの名をPython 3Kがリリースされました。このバージョンは、Python 2.xの時代に積もり積もった言語の設計上の問題を修正し、言語と標準ライブラリをきちんと整理することを目指しています。しかし開発者にとって、これは痛みを伴うアップグレードとなります。Python 3.0にはPython 2.xとの後方互換性がないからです。Python 3.0では、由緒ある「hello world!」プログラムさえ動かなくなります。
とはいえ、この痛みをある程度和らげる手段も用意されています。Python 2の開発者は完全に見捨てられたわけではありません。Python 3.0の数か月前にリリースされたPython 2.6は、移行プロセスの支援を目的としています。例えば、Python 2.6に付属する「2to3」というツールは、Python 2.xのコードをPython 3.0に移行するときに役立ちます。この記事では、Python 3.0の主要な言語機能を取り上げます。今後の記事で、次の内容を取り上げる予定です。
- 言語のその他の変更点
- 標準ライブラリの変更点
- Python 2.6
- Python 2.xからPython 3.0への移行
Pythonの開発プロセス
Pythonは、「BDFL」(Benevolent Dictator for Life:慈悲深き独裁者)ことGuido van Rossum氏が率いるコミュニティ活動によって開発されています。コミュニティで合意に達することができない事案については、Guido van Rossum氏が最終決定を下します。Pythonの改良案はPEP(Python Enhancement Proposals)に明記されています。特定の言語機能や変更点に関する詳細は、該当するPEPを読めば大抵分かります。
Python 3.0:概観
Python 3.0では、言語のほぼすべての部分に手が加わっています。型システム、クラス、メタクラス、および抽象基底クラスが大幅に変更されたほか、例外処理が整理され、数値データ型が強化されました。また、文字列はUnicodeとなり、文字列の書式設定が改良されています。しかし、多分最初に気付く変更点は、print
文が関数になったことでしょう。
ここから話を始めるのは、入門者がPythonを学ぶときに最初に目にするのが、おそらくprint
だからです。Pythonの「hello world」プログラムは、以前は次のように記述していました。
>>> print 'hello world!' hello world!
しかし、Python 3.0でこのプログラムを実行すると、次のように表示されます。
>>> print 'hello world!' File "", line 1 print 'hello world!' ^ SyntaxError: invalid syntax
Python 3.0では、文字列をかっこで囲むのが正しいやり方です。
>>> print('hello world!') hello world!