明細書データの登録
今回の明細用のひな形は次のようになっています。
合計金額には「=SUM(E13:E15)」の数式が入力されており、小計の合計値を計算しています。
また例えば13行目の小計では「=C13*(D13/100)」が入力されており、D13に入力された数量に従って金額が表示されるようになっています。
このようにあらかじめ数式を入力しておくことでコードに記載する手間が省けたり、また整形されたフォーマット上に出力できるのはスプレッドシートならではです。
ご注文数量の欄にデータを登録するコードが以下になります。先ほどは1行新規で追加するためにリストフィードを扱いましたが、今回はある特定のセルにだけデータを入力したいため、セルフィードを扱うことになります。
// 明細作成 $outputSpecial = array(13, 4);① $serviceSpread->updateCell($outputSpecial[0],② $outputSpecial[1], $_POST['special'] * 100, $detailKey, $detailSheetId);
1. 出力先のセル位置
セル単位での扱いとなるため、セルの位置を行、列共に指定します。
2. セルにデータを入力する
以下関数を使用して、セルにデータを入力します。
$serviceSpread->updateCell(行, 列, 入力データ, スプレッドシートのキー, ワークシートのキー)
今回使用したオブジェクトとメソッド
以下に今回のサンプルで使用したオブジェクトとそのメソッドをまとめます。
Zend_Gdata_Spreadsheets
スプレッドシートを扱う大元となるサービスオブジェクトです。
メソッド | 詳細 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_SpreadsheetFeed getSpreadsheetFeed(string $location) | スプレッドシートのフィードを取得する。引数はフィード要求先のURI、もしくは特定のフィードを検索するZend_Gdata_Spreadsheets_DocumentQuery型のクエリ。何も指定しない場合はデフォルトのフィード要求先URIである'http://spreadsheets.google.com/feeds/spreadsheets'が引数となる。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_WorksheetFeed getWorksheetFeed(mixed $location) | ワークシートのフィードを取得する。引数にフィード要求先のURI、もしくは特定のフィードを検索するZend_Gdata_Spreadsheets_DocumentQuery型のクエリ、もしくはZend_Gdata_Spreadsheets_SpreadsheetEntry型のスプレッドシートのエントリ。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_ListFeed getListFeed(mixed $location) | リストのフィードを取得する。引数は要求先となるURI、もしくはZend_Gdata_Spreadsheets_ListQuery型のクエリ、もしくはZend_Gdata_Spreadsheets_WorksheetEntry型のワークシートのエントリ。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellFeed getCellFeed(string $location) | セルのフィードを取得する。引数は要求先のURI、もしくはZend_Gdata_Spreadsheets_CellQuery型のクエリ、もしくはZend_Gdata_Spreadsheets_WorksheetEntry型のワークシートのエントリ。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellEntry updateCell(int $row, int $col, int $inputValue, string $key, [string $wkshtId = 'default']) | 対象のセルに値を設定。既にデータがある場合は上書きとなる。引数は、列、行、値、スプレッドシートのキー、ワークシートのキー。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_ListEntry insertRow(array $rowData, string $key, [string $wkshtId = 'default']) | 対象のワークシートのデータ最下部に追加行を挿入。引数はデータの列名を配列の添え字とするarray型のデータ、スプレッドシートのキー、ワークシートのキー。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellEntry updateRow(Zend_Gdata_Spreadsheets_ListEntry $entry, array $newRowData) | 対象の行を更新する。引数は更新対象のZend_Gdata_Spreadsheets_ListEntry型のリストエントリ、更新する値を表すarray型のデータ |
void deleteRow(Zend_Gdata_Spreadsheets_ListEntry $entry) | 対象の行を削除する。引数は削除対象のZend_Gdata_Spreadsheets_ListEntry型のリストエントリ。 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_DocumentQuery
対象のワークシートの条件を保持するクエリオブジェクトです。
メソッド | 詳細 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellQuery setSpreadsheetKey(string $value) | 引数にスプレッドシートのキーを設定することで取得するワークシートをどのスプレッドシートから抽出するかを設定 |
また上記に対応するget
メソッドも提供されています。
Zend_Gdata_Spreadsheets_ListQuery
対象のリストフィードの条件を保持するクエリオブジェクトです。
メソッド | 詳細 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellQuery setSpreadsheetKey(string $value) | 引数にスプレッドシートのキーを指定することで取得するリストフィードをどのスプレッドシートから抽出するかを設定 |
Zend_Gdata_Spreadsheets_CellQuery setWorksheetId(string $value) | 引数にワークシートのキーを指定することで取得するリストフィードをどのワークシートから抽出するかを設定 |
また上記に対応するget
メソッドも提供されています。
まとめ
いかがでしょうか。Zend_Gdata_Spreadsheetについて解説を行いました。スプレッドシートは簡単なデータベースとしても使用できますし、エクセルのように計算式や体裁を整えた文書の作成も行うことができます。ただし、実行してみると分かりますが、データベースとしてはあまり高速ではありませんので、大量の複雑なデータを扱う場合には注意が必要です。
さて、今回でZend_Gdataシリーズの解説はひとまず終了となります。PHPとGoogleサービスの連携、理解できたでしょうか。Googleサービスは今後も色々増えることが予想されますし、それに伴いZend_Gdataもアップデートされ、様々なサービスがPHPから扱えるようになると思われます。それでも基本は今回解説したものと同じになりますので、どんどん便利なPHPスクリプトを作成していってください。