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「Rational Software Conference 2009」アップデート
10月には日本でもRSCを開催

Rational最新動向インタビュー

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クラウドサービスを含む、多くの新製品を発表

 RSC 2009で発表された新製品は、「Rational Insight 1.0」「Rational Focal Point for Project Management 1.0(beta)」「Rational Focal Point for Product and Portfolio Management 6.4」「Rational Team Concert 2.0」「Rational Requirements Composer 2.0(beta)」「Rational Quality Manager 2.0(beta)」「Rational System Architect 11.3」の7製品になります。ここでは製品名の紹介にとどめますが、製品名からおおよその機能が予想できると思います。なお、「RTC(Rational Team Concert)2.0」については、後ほど詳しく説明します。 

 またIBMでは、電気、自動車などのインダストリアル・セクターにおいて、最重要課題はやはりコスト削減ではあるものの、より「スマート」な製品を作り出すためのイノベーションも欠かせないと考えています。そして、そのイノベーションを生み出すのに特に重要なのが組み込みソフトウェア開発です。その組み込みソフトウェア開発を支えるためにJazzプラットフォームを基盤とした「Rational Software Platform for Systems」を提供し、今後、新しい製品や既存製品をJazz上に統合していきます。「Rational DOORS Web Access」「Rational Rhapsody v7.5.1」「Rational Team Webtop」「Rational MCIF for Systems」がそれで、Telelogic社製品のラインアップを中心としたプラットフォームとなっています。

今後は組み込みソフトウェアが競争力の源泉に「 スマーター・プロダクト」:IBM資料より抜粋
今後は組み込みソフトウェアが競争力の源泉に「スマーター・プロダクト」:IBM資料より抜粋

 最後にディベロッパー・クラウドですが、これは正式発表というより技術上のプレビューとして紹介されました。IBMのクラウドサービスには「Rational Software Delivery Services ON the cloud」と「Rational Software Delivery Services FOR the cloud」の2種類があります。「ON the cloud」は、クラウド上にRational製品を置き、ユーザはブラウザ経由でリソースを利用し開発することができるサービスです。インストールや管理が不要で、必要な開発環境を即座に利用できるサービスといえるでしょう。一方、「FOR the cloud」は、クラウド上のリソースを、デザインしたりプロビジョニングするソリューションになります。例えば、テスト環境のために、ハードウェアの準備、ソフトウェアのインストール、データのセットアップは非常に手間がかかる作業です。この「FOR the cloud」では、クラウド上にオンデマンドでテスト環境をプロビジョニングしてテストを実行し結果を記録して、テスト環境を削除してしまう、といったことを自動化できるようになります。

 また、クラウドの提供形態においても、IBMでは、一般的なクラウドサービスである「プライベート・クラウド」。お客様の環境内にクラウドを構築するプライベートな「パブリック・クラウド」、さらにこの両方を提供するハイブリッド型の3種類のクラウドサービスを提供していく計画です。

プロセス改善のためのフレームワーク「MCIF」

――続いて、藤井氏にプロセス改善の新しい手法である「MCIF」についてうかがいました。

日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Rationalテクニカルセールス&サービス 藤井智弘氏
日本アイ・ビー・エム株式会社 ソフトウェア事業 Rationalテクニカルセールス&サービス 藤井智弘氏

 Rational Software Conference 2009(RSC 2009)において発表された「MCIF」は「Measured Capability Improvement Framework 」の略ですが、これは製品名ではなく、お客様がプロセス改善を行っていく際の進め方に対するアプローチの名称です。従来はRUPと呼ばれる繰り返し型のプロセス改善が一般的でしたが、アジャイルも有効であるという認識がここ2~3年で急速に広がってきました。もちろん、RUPが適しているケースもありますが、アジャイルが適しているケースも多く、プロセス改善の手法に幅が出てきたといえます。

 プロセス改善について日本での例を挙げてみると、たとえば納期を短くするといった目的に対し、ウォーターフォール主流の方達はプロセス改善の手段が目的になってしまい、導入しただけで完結してしまうケースが多くなっています。そうすると、マネジメント側では投資効果が見えなくなり、当然、改善効果も把握できなくなってしまいます。IBMはRSC 2009のテーマに「As REAL as It Gets!」を掲げていますが、MCIFではさまざまなデータを測ることで投資すべきかどうかを判断することができます。

(再掲)Measured Capability Improvement Framework(MCIF):IBM資料より抜粋
Measured Capability Improvement Framework(MCIF):IBM資料より抜粋

 MCIFは新しい技術ではなく、プロセスを改善するためのテクニックといえます。その基本は、さまざまな生データやメトリックスを収集し、プロセス改善を数値化することにあります。数値化することで改善効果が見えるようになり、数値の変化をトラッキングすることで適切な軌道修正が行えます。また、目的意識を共有する方向へ転換していくことが可能です。MCIFでは、改善を4つのフェーズで捉えており、このサイクルを繰り返していくことで高い効果を無駄なく得ることができます。作業の進め方のフレームワークといえるでしょう。

 MCIFは、「ビジネスゴールの設定」「IT部門の改善目標の設定」「改善作業の実施」「効果測定」の4つのフェーズで構成されます。フェーズ1のゴールの設定では、CEOや情報システム系のトップエグゼクティブなどを巻き込み、3~4年のスパンでコスト削減や納期を早めるといったゴールを設定します。フェーズ2では、設定されたゴールに対してIT部門でできることをディスカッションします。アセスメントによって問題点を精査し、どの問題点をつぶしていくか、またそのためにはどんなデータを取る必要があるかを決定します。生データを取れるものはそれを利用し、感覚的なものについては通信簿のように自分たちで指針を決めて数値化します。

 3つ目のフェーズである改善作業の実施では、RUPを使うかアジャイルを使うかなど使用するプラクティスを決定し、実践します。これにはチーム全体で取り組み、ビジョンを共有することが重要です。フェーズ4の効果測定は3カ月や6カ月のサイクルで実施します。すべてが数値化されているため、プランと効果が定量化され指針が明確に把握できます。数値による裏付けがあるので、どの部分に問題があるのかが一目瞭然となり、次のサイクルに向けた改善点を見つけ出すことも容易になります。

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効率的にデータを収集、レポート化する「Rational Insight」

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この記事の著者

吉澤 亨史(ヨシザワ コウジ)

元自動車整備士。整備工場やガソリンスタンド所長などを経て、1996年にフリーランスライターとして独立。以後、雑誌やWebを中心に執筆活動を行う。パソコン、周辺機器、ソフトウェア、携帯電話、セキュリティ、エンタープライズ系など幅広い分野に対応。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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