はじめに
Silverlight 3では多くの新機能が追加されていますが、多数のサブシステムからなる業務アプリケーションを作成するという観点では、標準的な画面遷移を提供するナビゲーションフレームワークが追加されたというのはうれしい変更点といえるでしょう。
今回はナビゲーションフレームワークの概要とその仕組みについて触れていきます。
Silverlightでの画面遷移
Silverlight 2までの開発で多くの開発者を悩ませていた問題に、標準的な画面遷移(画面の切り替え)が存在しないという問題がありました。Silverlight 2まではWeb開発では当たり前だったハイパーリンクによる画面遷移や、現在の画面を閉じ新しい画面を開くといった画面遷移とは少し違った技を用いる必要がありました。
Silverlight 2までは画面遷移の方法として大きく次の2つの方法がありました。
1. Webページ(HTML)のハイパーリンクやリダイレクトを呼び出す(図1)。
この方法では、MainPage.xamlのボタンがクリックされたタイミングで、Silverlight側からMainPage.htmlにあるリンクやJavaScriptの関数を呼び出すことで画面遷移しています。
画面の一部だけをSilverlightで作成し、ページの切り替えが必要な場合に便利です。
ただし、HTMLの要素を利用していますので、Silverlight 3からの新機能であるブラウザ外でのSilverlightの実行機能では利用できません。また、移動先では再度Silverlightアプリケーションの読み込みが行われるため、アプリケーションの読み込みに時間がかかったり、Page間で状態を受け渡す場合にもASP.NETの状態管理やHTML-DOM連携などを利用した仕組みが必要となります。
ブラウザ外でのSilverlightの実行機能に関しては、本連載の4回目を参照してください。
2. XAML要素を切り替える(図2)。
こちらは1.のアプローチとよく似ていますが、画面遷移がSilverlight内で完結している点で異なります。
各ページ(MainPage、Page1、Page2)はイベントが発生したタイミングでMainPage.xamlのコンテンツを切り替え、表示するページを切り替えることで画面遷移を行います。
この方法で画面遷移を行うと、Silverlightのみで完結しているためスマートですし、画面間の状態管理もSilverlight内で行えばよいのでアプリケーションの構成もシンプルになります。
しかし、Uriはどのページでも最初にロードされたMainPage.htmlであるため、たとえばPage2に直接移動したいとか、検索エンジンにクロールしてほしいとかいった場合にはほかにも仕組みを考える必要があるでしょう。またコンテンツの切り替えの部分は自前で作成する必要があるので少し難易度が高いかもしれません。
このページ遷移の方法は『Silverlight 2で大きく変わったコントロール』で詳しく触れられています。