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PDC 2010で明らかになったWindows Azureの新機能

PDC 2010で明らかになったWindows Azureの新機能(後編)

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Windows Azure AppFabric

 ここからは、Windows Azure AppFabricの新機能を紹介します。

 ここで紹介するCachingはPDCで発表後に利用可能となった機能ですが、サービスバスおよびアクセスコントロールPDC以前より継続的にアップデートが行われています。

AppFabric Caching

 AppFabric Cachingとは、高いスケーラビリティと低いレイテンシ、高いスループットを実現する分散インメモリキャッシュで、Windows Server AppFabric Cachingのサブセット機能を提供します。現在CTPとして提供されており、開発コード名「Velocity」として知られていました。

 図5は、AppFabric Cachingを構成する概念図で、以下のような特徴を備えます。

  • Web/アプリケーション層からは、単一のキャッシュに見える
  • Web/アプリケーション層と、データ層の間に挟むことで、スケールアウトに適した構成を取ることができる
  • WebロールからASP.NETセッションプロパイダとしても利用可能
図5:AppFabric Caching概念図
図5:AppFabric Caching概念図

 前述の通り、AppFabric Cachingは、分散メモリキャッシュとしての利用だけでなく、ASP.NET用のカスタムセッションプロバイダも用意されるため、Windows Azure上のWebロールにおいてセッション情報の格納に利用できます。

 以下は、AppFabric Cachingを利用してASP.NETのカスタムセッションプロバイダを構成する例です。

[リスト6]Web.configファイル
<sessionState mode="Custom" customProvider="DistributedSessionProvider"
              compressionEnabled="false">
  <providers>
    <add name="DistributedSessionProvider"
type="Microsoft.Web.DistributedCache.DistributedCacheSessionStateStoreProvider, Microsoft.Web.DistributedCache" cacheName="default"/>
  </providers>
</sessionState>

 AppFabric Cachingは、CTPとして「AppFabric Labs」で提供中です。

サービスバスの機能強化

 AppFabricサービスバスとは、オンプレミス-クラウド間の通信を橋渡しする、いわゆるサービスバスを提供する機能です(図6)。AppFabricサービスバスは、継続的にバージョンアップが行われており、最近強化された機能の一部を紹介します。

図6:AppFabric サービスバス概念図
図6:AppFabric サービスバス概念図
  1. ロードバランス機能

     今までサービスの提供側であるサーバ側(リスナ)は、複数登録ができず、負荷分散と言ったことを行うことができませんでした。今回のバージョンアップにより、複数のサーバを登録できるマルチリスナが実現できます。負荷分散や単一障害点の回避といった機能が実現されます

  2. メッセージバッファ

     メッセージバッファの機能が拡張され、サイズ(60KB → 256KB)、容量(2MB→100MB)、メッセージ生存期間(10分→制限なし)に緩和されます

 サービスバスのバージョンアップ機能はCTPとして「AppFabric Labs」で提供中です。

アクセスコントロールの機能強化

 AppFabricアクセスコントロールとは、アプリケーションの認証基盤で、シングルサインオンを実現する機能を提供するサービスです(図7)。サービスバスと同様に、継続的にバージョンアップが行われており、最近強化された機能の一部を紹介します。

図7:AppFabricアクセスコントロール概念図
図7:AppFabricアクセスコントロール概念図
  1. サードパーティ認証機関の追加

     いままでのアクセスコントロールは、自身が認証機関として振る舞うか、ADFS 2.0(Active Directory Federation Service)としか連携できませんでした。今後、Windows Live-ID、Google、Yahoo、Facebookを認証機関として利用できることになります。

  2. 新しいプロトコルの実装

     WS-Trustや、WS-FederationといったWebサービスを実現するうえで、必要なプロトコルが実装されました。

 アクセスコントロールのエンハンス機能はCTPとして「AppFabric Labs」で提供中です。

AppFabric Connect

 AppFabric Connectは、BizTalk Server 2010の新機能として提供され、社内基幹業務とクラウドの連携機能を強化します。BizTalkで実装されたサービスをAppFabricのサービスバスと通して公開できます。

 AppFabricコネクトは、BizTalk Server 2010 Feature Pack(October 2010)として公開中です。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト statemachine(statemachine)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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