2 gaedirectのダウンロード・インストール
2.1 gaedirectのメリット
このようにGoogle App Engine(GAE)を使用したサイト構築は緊急時対応を含めて多くのメリットがあります。例えば、3月に遭遇した東日本大震災の後には、非常に多くの市町村公共団体等のサイトが軒並みダウンしていることが、Google検索からも確認することができました。つまり、地域の人々が切実に情報を必要としている時に限って、その情報を提供するサイトがアクセス不能に陥ってしまっていたのです。そして、もしこのようなサイトがクラウド化されていれば、クラウドの持つ驚異的なスケーリング機能から、このようなアクセス不能状態は発生しなかったはずです。
そうは言っても、GAEで例えばJava言語からLow-Level APIやSlim3を使用して分散KVS(Bigtable)を自由に操ることはそう簡単なことではなく、習得に時間がかかるかも知れません。また、上記のようなサイトを受け持つエンジニアがGAEのサーバサイドつまりクラウドプログラミングに精通しているということは、あるいは稀かもしれません。
しかし、gaedirectを使用すれば、GAEのクラウドシステム構築で要求されるサーバ側でのプログラミングを一切行うことなく、ブラウザクライアントのJavaScriptからjQueryを使用したごく簡単なプログラム記述でGAEのデータストであるBigtableを自由に操ることができるようになります、もちろんjQueryなしでのプログラミングも可能です。gaedirectを使用したBigtableアクセスがどれほど簡単なのかは具体的にはこの後解説しますが、サンプルサイトでのJavaScript記述を見れば、おおよそのイメージは持っていただけると思います。
それでは最初に、gaedirectを使用するための環境設定から話を進めていきます。
gaedirectのダウンロードは筆者のWebサイトを開き、「gaedirect1.0 ダウンロード」のリンクをクリックしてください。ダウンロードファイル(gaedirect_11.zip)を解凍すると、図2-1のようにプロジェクトが展開されます。ダウンロードファイルには、ここでの記事で紹介するJavaScriptサンプルが含まれています。
Eclipseで使用する場合とコマンドラインから使用する場合で手順が違ってくるので、それぞれ分けて見ていきます。
2.2 Eclipseで使用する場合
GAEをEclipse環境で使用できるようにするためには、事前にGoogleアカウントの取得や、Eclipseプラグインのインストールを行っておく必要があります。この部分については@ITの記事『EclipseでJava版App Engineを始めるための基礎知識』を参照してください。なおEclipseでは、ここで紹介している英語表示の他に日本語版で使用している方も多いと思いますので、説明のカッコ内は日本語化されたEclipseでの表記内容になっています。
gaedirectのプロジェクトをウンロード解凍後、次の手順でEclipseプロジェクトとしてインポートします。
Eclipseで図2-2のように[File(ファイル)]メニューの中の[Import(インポート)]をクリックします。[Import(インポート)]をクリックすると、図2-3のような[Select(選択)]ダイアログが表示されます。
[General(一般)]の中の[Exsistiong Projects into Workspace(既存プロジェクトをワークスペースへ)]をクリックして[Next(次へ)]ボタンをクリックします。
このダイアログでインポートするプロジェクトが含まれるディレクトリ(注1)を指定して[OK]ボタンをクリックすると、図2-6のようにインポート可能なプロジェクトの一覧が表示されます。
図2-5ではgaedirectとなっていますが、実際にはバージョンに対応した番号が後に続きます。例えば今回のバージョン1.0の場合は「gaedirect10」となっています。
gaedirectのチェックボックスがチェックされているのを確認後、[Finish(終了)]ボタンをクリックすると、図2-6の処理でgaedirectのインポートは完了し、図2-7のように[Package Explorer(パッケージ・エクスプローラー)]にインポートしたgaedirectプロジェクトが追加表示されます。