SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

実例で学ぶASP.NET Webフォーム業務アプリケーション開発のポイント

エラー処理をパターンにはめよう

実例で学ぶASP.NET Webフォーム業務アプリケーション開発のポイント 第3回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 本連載ではツールやフレームワークの機能を最大限利用しつつ、保守、開発効率を意識したWebフォームアプリケーションを開発する方法を学んでいきます。第3回の今回は、エラー処理について学んでいきましょう。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

エラーの種類

 さて、単純にエラー処理と言っても、その種類によって対応方法が違ってきます。本記事では、エラーを次のように分類することとします。

  • 業務エラー
    • 単体入力エラー
    • 突合せエラー
  • システムエラー

 それでは、それぞれのエラーについて詳しく説明していきましょう。

業務エラー

 アプリケーション側で想定可能で、発生しても以後の処理に復帰できるようなエラーを、「業務エラー」と呼ぶこととします。業務エラーはさらにそのチェック方法によって、単体入力エラー、突合せエラーに分けることができます。

[1] 単体入力エラー

 ユーザーがフォームに入力した値のみでチェックが可能なエラーを単体入力エラーと呼ぶこととします。例えば、必須項目が入力されていない、数字を入力すべき項目に数字以外が入力された、などです。

 また、複数の項目を組み合わせてチェックするものについても、単体入力エラーに分類します。例えば、日付の前後関係が間違っている、ある項目を入力したときに必須となる項目が入力されていない、などです。

[2] 突合せエラー

 単体入力エラーではチェックできない、外部のデータと突き合わせる必要があるチェックについてのエラーを、突合せエラーと呼ぶこととします。例えば、入力した値が既に登録されている、マスターテーブルに存在しないコードが入力された、などです。

 外部のデータはデータベースに限らず、他のWebサービス呼び出しや、ファイルアクセスなども含みます。

システムエラー

 アプリケーション側で想定しておらず、発生したときには以後の処理には復帰できない致命的なエラーを、システムエラーと呼ぶこととします。例えば、データベースサーバーが応答しなかった、バグによる不正な動作、ハードウェアエラーなど、あらゆる想定外のエラーが含まれます。

エラー処理の流れ

 エラーの種類が分かったところで、まずエラー処理の大まかな流れを理解しておきましょう。次の図を見てください。

図1:エラー処理の流れ
図1:エラー処理の流れ

 基本的な決まり事を一言でいうと次のようになります。

  • 単体入力エラーチェックから順に行い、エラーを検出したらそこで処理を終了させる

 これはエラーがなかった時のみ次の段階に進むことで、値の妥当性を確保しつつ処理を進めていくためです。この決まり事を無視すると、処理に必要な値が入っているか、数値を期待している項目に数値以外が入っていないか、などのチェックを業務ロジックの中でも行わなくてはならず、無駄に複雑になってしまい、バグを生む温床になりますし、保守も大変です。

 よく「出せるエラーは一度に全部出してほしい」という要望を受けることがあります。例えば、数字のみで構成されるコード値に対して、①妥当なコードかどうか、②マスターに存在するコードか、という2つのチェックを両方行いその結果を表示する、などです。

 こういった要望についてですが、私は可能なら避けるべきと考えます。

 なぜなら、「①妥当なコードか?」というのは単体入力チェックの範疇ですが、「②マスターに存在するコードか?」というのは突合せチェックの範疇であり、前述のとおり②を行うためには①のチェックをパスしているか判断する必要があるため、余計に複雑になってしまうためです。

 また「名称表示ボタンをクリックしたら、入力したコードがマスターテーブルに存在するかチェックして、名称を表示したい」というような要望もたまにあります。

 こういったケースでは「入力されたコードがマスターテーブルに必ず存在する」と想定してしまいがちですが、決してそんなことはありません。登録ボタンなどの「確定」系のボタンでも、同じようにマスターテーブルの存在チェックを行うようにしましょう。

次のページ
業務エラーへの対処法

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
実例で学ぶASP.NET Webフォーム業務アプリケーション開発のポイント連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 高野 将(タカノ ショウ)

<個人紹介>新潟県長岡市在住の在宅リモートワークプログラマー。家事や育児、仕事の合間に長岡IT開発者勉強会(NDS)、Niigata.NET、TDDBCなどのコミュニティに関わったり、Web記事や書籍などの執筆を行ったりしている。著書に『アプリを作ろう! Visual C#入門 Visual C# 2017対応』(日経BP社、2017)など。<WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/6553 2012/05/16 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング