業務エラーへの対処法
それでは、それぞれのエラーへの対処方法について順番に学んでいきましょう。まずは業務エラーからです。
業務エラーには前述のとおり、単体入力エラーと突合せエラーの2種類があり、それぞれ対処法は異なります。ただ、一般的な正常処理の流れの中で行われることは同じです。
単体入力エラー
単体入力エラーへの対処は、 ASP.NET Webフォームに用意された検証サーバーコントロールを用いて行います。
検証サーバーコントロールとは、チェック対象のコントロールを指定し、入力値にエラーがある場合、自動的にメッセージを表示するサーバーコントロールです。
ASP.NET Webフォームの標準で用意された検証サーバーコントロールには、次のようなものがあります。
コントロール名 | 説明 | 例 |
RequiredFieldValidator | 項目が入力されたかどうか検証する | キー項目が入力されたかどうか検証する |
CompareValidator | 入力された値を他の値、項目と比較検証する | 納品日が出荷日以降かどうか検証する |
RangeValidator | 入力された値が正常な範囲かどうか検証する | 月が1~12の範囲で入力されたか検証する |
RegularExpressionValidator | 正規表現を使い入力された値の書式を検証する | 郵便番号が正しく入力されたか検証する |
CustomValidator | 上記の4つではできない独自のルールで検証する | どちらか一方のみ入力されたか検証する |
検証サーバーコントロールを使うことの最大の利点は、1つの検証サーバーコントロールでクライアントサイド、サーバーサイド両方の検証処理が行われることです。これにより、クライアントサイドはJavaScript、サーバーサイドはC#、といった複数の言語を扱う必要がなくなります(注1)。
CustomValidatorコントロールだけは例外で、独自の検証処理をクライアントサイド、サーバーサイドそれぞれで記述する必要があります。なお、クライアントサイドの検証処理は必須ではありません。
検証サーバーコントロールを用いた単体入力チェックの結果は、Page.IsValidプロパティを判断するだけで可能です(注2)。
Page.IsValidプロパティの具体的な使い方は以下のようになります。
protected void InsertButton_Click(object sender, EventArgs e) { if (!Page.IsValid) // (1) { // 単体入力エラーあり return; } // (2) 入力値の取得 var meetingRoom = new MeetingRoom() { MeetingRoomName = MeetingRoomNameTextBox.Text, LocationId = Int32.Parse(LocationDropDownList.SelectedValue) }; // ... 省略 突合せエラー以後の処理 }
(1) Page.IsValidプロパティを判定する
Webフォームの配置した検証サーバーコントロールの内、いずれか1つにでもエラーがあった場合、Page.IsValidプロパティはfalseに設定されています。従って、Page.IsValidプロパティがfalseの際、そこで処理を抜けるようにします。
突合せエラーを含む以後の処理は、単体入力エラーがない場合のみ行うようにするのが原則です。なぜなら、単体入力エラーの有無にかかわらず以後の処理を行うと、業務ロジック側でも入力値の妥当性を確認しなくてはならなくなるからです。
(2) 入力値を取得する
この段階では単体入力エラーがないことが保障されているので、入力された値の妥当性を確保した状態で以後の処理を進めることが可能になります。
もちろん、個々の検証サーバーコントロールごとの検証結果も、それぞれの検証サーバーコントロールのIsValidプロパティで判断できます。