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Windows Azure新機能チュートリアル

Windows Azure for Node.jsでAzureストレージを扱おう

Windows Azure 新機能チュートリアル(15)

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Expressフレームワーク

 サンプルの解説に入る前に、Expressフレームワークの構成、動作といった点について説明します。

Express構成

 Express用テンプレートを展開した時点でのプロジェクト構造は、リスト3のとおりです。

[リスト3]Expressフレームワークの構造(Express関連部分のみ抜粋)
C:\Node\sample\Webrole1
│  app.js                 (1)
├─public                 (2)
│  ├─images
│  ├─javascripts
│  └─stylesheets
│          style.css
├─routes                 (3)
│      index.js
└─views                  (4)
        index.ejs
        layout.ejs

 (1)のapp.jsは初期のサーバー起動スクリプトです。(2)のpublicフォルダはJavascriptやスタイルシート、画像などコンテンツを保管します。(3)のroutesフォルダのindex.jsスクリプトには、リクエスト毎に振り分けられた処理を実装します。直接、app.jsに実装することもできます。(4)のviewsフォルダは、出力元となるテンプレートを格納します。各テンプレートは、layout.ejsの<body>タグの中に挿入されます。

Expressの内部動作

 Expressは、いわゆるMVCフレームワークを採用しています。MVCとはモデル(Model)、ビュー(View)、コントローラー(Controller)を意味し、アプリケーションを構造的に作成するためのアーキテクチャです。このような構造にすることによってコンポーネント間の依存性を排除し、アプリケーション開発の分業性や保守性などを向上できます。それぞれの構成要素の概要は下表のとおりです。

表2 MVCの概要
構成要素 概要
モデル ビューに表示されるオブジェクトモデルやロジックを表現
ビュー ユーザーへの情報表示や入出力を受け持つ
コントローラー ユーザーからの入力を受け付け、モデルやビューを制御

 これらの要素をExpressに当てはめた場合の概要が下図です。

 

図1:MVCの概要図
図1:MVCの概要図

 それぞれの動きについて実際のコードを参照しながら確認していきましょう。

 はじめにコントローラー部分から説明します。リスト4は、コントローラーに相当するapp.jsの抜粋です。コントローラーであるapp.jsは、ユーザーからのリクエストに応じて、モデルに処理を委譲します。

[リスト4]ルーティングの設定例(app.js)
app.get('/', routes.index);

 変数appはExpressサーバーのインスタンスが格納されています。以下の例では、Webサーバーのルート(例えば、http://localhost/)にアクセスがあった場合に、第2引数に指定されたroutes.index関数に処理を渡します。第2引数のメソッド名は、HTTPの動詞(Verb)に対応しています。ここはgetメソッドを使っていますが、他にもPUT/POST/DELETEなどに対応するput、post、deleteなどのメソッドが存在します。

 このように、アクセスされたURLによって処理の振り分けを行うことをURLルーティングと呼びます。Expressにおけるコントローラー処理の多くは、アクセスされたURLによってどのような処理を実行するかを振り分けるための、URLルーティングの設定処理となります。

 レンダリング部分(レスポンス処理)は、routes/index.jsに定義しますが、この部分もコントローラーの範疇と言えます(リスト5)。

[リスト5]レンダリング(routes/index.js)
exports.index = function(req, res){
  res.render('index', { title: 'Express' })
};

 res.renderメソッドによってテンプレートのレンダリングを行います。第1引数はテンプレート名、第2引数はテンプレートに渡す情報をJSON形式で指定します。

 さてモデルですが、この例で言えばロジック的なものが無いため、第2引数に指定されたオブジェクトをモデルとみなすことができます。実際のアプリケーションでは複雑なオブジェクトモデルをロジックで組み立てていく部分がモデルにあたるでしょう。

 最後にビュー部分です。ビューとして出力されるHTMLの雛形となるテンプレートはリスト6のように定義されます。

[リスト6]EJSテンプレート(views/index.ejs)
<h1><%= title %></h1>
<p>Welcome to <%= title %></p>

 テンプレートエンジンとしてEJSを指定したため、埋め込み式のJavascriptを記述できます。以下の例では、<%= title %>によってリスト5で渡された変数の展開を行っています。EJSの詳細な書式については、EJSのページを参照ください。

補足 リスト5 index.jsの名付け

 リスト5のindex.jsはルート要素のindex.ejsに対応しているわけではなく、Node.jsの仕様としてrequire('./routes')を実行したときに、暗黙的にindex.jsが読み込まれるためこのような名前付けになっています。今回のサンプルでは、レンダリング部分は、すべてindex.jsファイルに実装しています。またモデル(ロジック)についても、index.jsに実装しています。MVCやファイルの分割実装サンプルは、Expressのサンプルを参照ください。

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ストレージの利用

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト statemachine(statemachine)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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