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クラウドに向かうエンタープライズJava
──しかしその前にまずJava EE 6対応を!

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3 その前に、まずJava EE 6への移行を

 しかしながら、ここで忘れてはいけない重要なポイントがあると寺田氏は続ける。それは、これらのクラウド対応機能は現在のJava EE 6をベースとして構築されるという点である。Java EE 6には、大規模エンタープライズアプリケーションを展開するための基盤技術がすべて整っている。Java EE 7は、その上にクラウド対応に必要な技術やAPIを取り込む形で設計される。

図3.1 Java EE 7への進化はJava EE 6をベースとして実現される
図3.1 Java EE 7への進化はJava EE 6をベースとして実現される

 従って、将来的にJava EE 7を使いこなすためには、まずJava EE 6の技術を確実に押さえておかなければならない。ところが日本市場では、図3.2に示すように、StrutsやSpringなどといったサードパーティ製のフレームワークが依然として高いシェアを維持している。

図3.2 日本では依然として独自フレームワークのシェアが高い
図3.2 日本では依然として独自フレームワークのシェアが高い

 Javaの歴史を振り返れば、サードパーティによるフレームワークがJava EEで提供されるものよりも先行してトレンドを形成していた時期は確かにあった。しかし現在では、このような状況はすでに市場のニーズから大きくかけ離れてると寺田氏は言う。

 「世界的に見れば、エンタープライズJavaアプリケーションのトレンドは完全にJava EE 6に移行しています。日本で人気のStrutsも、世界的なシェアはバージョン1、バージョン2ともに1.3%程度です。確かに、従来はエンタープライズJavaと言えばStruts+Spring+Hibernateという構成が主流でした。しかし現在は、StrutsやSpringを組み合わせて独自に作った環境はすべてJava EE 6で置き換えることができます。JSFやEJB、JPAなどのJava EE標準の技術だけで完結できるわけです」

図3.3 世界的にはJava EE標準のフレームワークが主流
図3.3 世界的にはJava EE標準のフレームワークが主流

 Java EEで完結させられるということは、フレームワーク同士の依存関係やコンフリクションの問題に頭を悩ませる必要がないことに加えて、Java EEの動向さえ追っていれば、脆弱性や新技術への対応が十分に行えるというメリットがある。従来のような独自フレームワークを組み合わせた構成の場合、開発者や運用管理者はそれぞれの動向を個別に追いかけておく必要があった。Java EEを使えばそのような負担から開放される。その上、ベンダーロックインのリスクも避けることができる。

 「歴史的な経緯からJava EEに対してネガティブなイメージを持たれている方も多いかもしれません。しかしJava EEは進化しています。古いイメージは捨てて、今のJava EEを見てください。エンタープライズシステムやWebアプリケーションの開発に必要なすべての機能を備えているのです。そして、次世代のJava EE 7を使いこなすためにも、できるだけ早くJava EE 6への移行を進めて欲しいと思います」(寺田氏)

4 Java EE 6について基礎から学べる無料セミナーを実施

 日本オラクルとしても、Java EE 6利用を促進するための教育やコンサルティングなどに力を入れていく予定だという。そしてその一環として、8月23日に開発者向けのJava EEセミナーを開催する。このセミナーには、スピーカーとしてJava EEおよびGlassFishのエバンジェリストであるArun Gupta氏と、Java ChampionであるBert Ertman氏が来日し、Java EE 6を扱うためのノウハウや今後の展望、既存フレームワークからJava EE 6へのマイグレーションなどについて講演する予定だという。

 「オラクルはJavaを使う皆様にもっと楽になってもらいたいと願っています。そのためにもいま一度Java EEを見直して、足場を固めて欲しいと思います。8月のセミナーはその足掛かりになるはずです」(寺田氏)

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この記事の著者

杉山 貴章(スギヤマ タカアキ)

有限会社オングスにて、Javaを中心としたソフトウェア開発や、プログラミング関連書籍の執筆、IT系の解説記事やニュース記事の執筆などを手がけている。そのかたわら、専門学校の非常勤講師としてプログラミングやソフトウェア開発の基礎などを教えている。著書に『Javaアルゴリズム+データ構造完全制覇』『Ja...

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