IBMのクラウド戦略の一翼を担うクラウド・マーケットプレイスのねらいや今後の展開について、日本アイ・ビー・エム株式会社 GTS事業 クラウド事業統括 理事 クラウド・マイスターの紫関昭光氏に聞いた。
IBMクラウドの利便性を飛躍的に高めるクラウド・マーケットプレイス
米IBMは、昨年7月にIaaSベンダの米SoftLayer Technologiesを買収。同社が提供してきたIaaSサービス「SoftLayer」を、IBMのサービスポートフォリオに組み込んだ。また、今年2月にベータ版としてリリースされたIBMのPaaSサービス「Bluemix」も、6月30日付けで正式版がリリース。これらを含む100を超えるという同社およびビジネスパートナーのクラウド製品・サービスを順次、クラウド上でも展開する形で、IaaSからSaaSまでをカバーするクラウドサービスを構築してきた。提供中のサービスの数は127に及ぶ(10月2日現在)。
一方で、IaaS、PaaS、SaaSはそれぞれ成り立ちが異なるため、ユーザーは必要なサービスの情報収集や探索、試用、購入を行うのに統一された窓口がなく、それぞれのWebサイトを回るなどの手間がかかっていた。クラウド・マーケットプレイスは、この問題を解決する施策として登場した。クラウド・マーケットプレイスでは、SoftLayerやBluemix、SaaSで提供されるさまざまなサービスが、その機能や用途に応じたカテゴリ別に並べられており、開発するアプリケーションやシステムに必要なサービスが探しやすくなっている。
それでも、数多くのサービスをの中から構築したいアプリケーションに必要なものを的確に選ぶのは容易ではない。そこでIBMでは、クラウド・マーケットプレイスに「ゲーム業界」や「DevOps」といったユーザーシナリオ(構築したいアプリケーションのタイプや業種など)から適切なサービスを選べるコンテンツを用意している。クラウド・マーケットプレイスのトップページにある「今すぐ始めましょう」のリンク先の画面で、構築するアプリケーションにマッチしたユーザーシナリオを選択すると、そのシナリオに適したサービスを教えてくれる。
また、IBMのビジネスパートナーにとって、クラウド・マーケットプレイスは自社で開発したIBMクラウド向けサービスをグローバルに販売するためのチャネルという役割も果たす。自社だけでグローバルにサービスなどを販売する場合、その存在を認識してもらうだけでも並大抵の苦労ではない。IBMが運営するクラウド・マーケットプレイス上であれば、認識だけでなく信用の面でも大きなアドバンテージが得られるだろう。