本連載では、さくらインターネット研究所の独自調査に基づき、クラウド時代に必要となるネットワーク仮想化とその在り方についてご紹介します。今回は私たちが利用しているクラウド・コンピューティング環境、特にIaaS(Infrastracture as a Service)でのシステム冗長化の現在と未来についてみていきましょう。
Vyatta/VyOSのお話から今回は少しそれますが、新しいシステムエンジニアの皆様の基礎理解を広げるお話なのでご理解ください。古くからシステムやネットワークの仮想化に取り組まれている方にとっては、「知っている。知っている」というお話ではありますが、その部分は適宜読み飛ばしください。
それでは、前回『クラウド時代のVPN設計の考え方』のおさらいからみていきましょう。
企業ポリシーにより異なるシステム冗長化
前々回と前回と、VPNについては企業規模や運用の考え方により、大きく2つの利用モデルに分かれることを解説しました(図1)。 システム冗長化に関しても、まったく同じ選択分岐が起こってきます。今回は、そこに至るシナリオを詳しくみていきましょう。
図2は、我が国における全事業者数とシステム冗長化を必要とする事業者の利用推定を行ったものです。残念ながら実測値のような統計情報は公開されていませんので、あくまで仮説・推定の領域を出ることはありません。
従業員数5名の飲食業の方が冗長化を必要とするコンピュータシステムを運用するか? とお考えいただければ、おおよそご理解いただけると思います。また中小企業および大企業でも、業務範囲によりシステム冗長化を必須とするか分かれてきますので母数はすべてとはなりません。特にシステム冗長化する場合、コスト負担は大きくなるため、ある程度の重要性を持つシステムに限定されます。数字で「○○%!」と明示できれば良いのですが、悩ましかったので今回は割愛しました。
少し変則的になりますが、この利用推定を俯瞰する時に参考となるデータとして、資本金別の総務省が発表するクラウドサービス利用状況を図3に共有します。資本金1億円を境界として、クラウドサービス利用状況に大きな差が生まれていることが分かります。
システム冗長化を考えたときはその企業が「ある程度の資金的体力を持っているか」、もしくは「ビジネス上の理由によりサービス停止時間に猶予がない」場合に該当することが推定されます。
企業の取り組みには千差万別ありますので利用推定はここまでとし、続いて具体的なクラウド時代のシステム冗長化について考えていきましょう。
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松本 直人(マツモト ナオト)
1996年より特別第二種通信事業者のエンジニアとしてインターネット網整備に従事。その後システム・コンサルタント,ビジネス・コンサルタントを経て2010年より,さくらインターネット株式会社 / さくらインターネット 研究所 上級研究員。(2016年より一時退任)研究テーマはネットワーク仮想化など。3~5年先に必要とされる技術研究に取り組み、世の中に情報共有することを活動基本としている。著書: 『モノのインターネットのコトハジメ』,『角川インターネット講座 ~ビッグデータを開拓せよ~』など多数。情報処理学会 インターネットと運用技術研究会 幹事
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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