コミケに行くと、ニッチな技術情報が手に入る
いつもは『マンガで分かるプログラミング用語辞典』を描いている、クロノス・クラウンの柳井です。コミケには、途中で数年のブランクがあったりしながら、20年ぐらい前から参加して、同人誌や同人ゲームを売ったり買ったりしています。
実はコミケには、本屋で売っていないような、ニッチでエッジなプログラミングやハードウェア、IT技術の同人誌が売っています。顧客が少なく出版社が刊行しづらそうな本が、有志の手によって作られて販売されているわけです。
そういったニッチでエッジな情報は、ネットでも手に入るのではないかと思うかもしれません。確かにそうなのですが、ネットで手に入る情報の多くは、個別のノウハウ的な内容が多いです。対して本としてまとめたものには、本といった体裁になっていることでのメリットがあります。
本は、まとまった分量を書くために、周辺知識も含めた情報が多いです。また、変わった切り口で1つのことを掘り下げた内容が見られます。他には、ネタに走りつつ、妙な角度でマニアックに探求したものもあります。さらに、世の表に出ないようなノウハウをまとめたものも少なからずあります。
そのため、ちょっと変わった面白い情報、それも本の形でまとまったものを入手したい時は、コミケに行って、技術系同人誌がある場所をぶらつくと楽しめます。
本稿では、そういった技術系同人誌を、コミケ初心者の方が、コミケを訪問して入手することを前提として記事を書きます。また、最終ページにて、コミケにブースを出しているサークルの情報を、自薦・他薦問わず募集しています。ぜひ、情報をCodeZine編集部まで、お寄せください。
対象読者
以下の読者を対象にしています。
- 技術系同人誌に、興味がある人。
- 2014年の年末に、関東にいる人。
コミケにはどんな技術系同人誌があるのか
コミケの出展者カタログに書かれている情報から、気になるサークルさんをいくつかピックアップしてみたいと思います。配置スペースの「火」は「12月30日 火曜日」のことで、「西」は西館のことです。この「西」については、あとで地図付きで説明します。「く」や「い」はブロックと呼ばれる、建物内のエリアのことです。「02b」などは、展示販売している机の位置になります。
配置スペース | サークル名 | 執筆者 | 内容 |
火 西く-02b | TechBooster | mhidaka | 新刊はAndroid/Firefox OSを予定 |
火 西く-03b | JCROM Project | androidsola | Androidの「Japanese custom rom」の創りかたを詳細に解説 |
火 西く-14b | EREX工房 | 夜道 | 科学技術計算用プログラミング言語 Julia の本 |
火 西く-15a | はと屋 | はと屋 | Node.js製CMSのghostをAWS Elastic Beanstalkを利用して構築から公開までをサポートする一冊 |
火 西く-31b | あの人の研究所 | あの人の中の人 | 技術を無駄遣いした研究を集めた「あの人の研究論文集」 |
火 西く-27a | UNT2works | KinoUNT2 | 水冷PC読本 |
火 西く-22a | まりも友の会 | 野中 純 | DSiウエアのプチコン用のプログラムテクニックと、サンプルプログラム本 |
火 西い-33a | 松浦リッチ研究所 | リッチ・ミカン | シェルスクリプトライトクックブック2014 |
火 西い-07a | れすぽん | 月兎耳 他 | 自作CPU基板ネタ |
また、私の場合は過去に「ARToolKitを使わずに ARマーカーの認識を フルスクラッチで作る方法」という同人誌を出しています。今回は、コミケに落選してしまったので、ブースはなかったりするのですが。
また、友人には、ちょっと変わったIT系の本を出している人もいます。コミケで初のスイカ決済をしたり、対面で電子書籍を販売するプラットフォームを用意したりしている「かざみみかぜ」さんの「自転車操業」(同人活動は"操"、商業は"創")。こちらの本は、IT技術者の方は興味があると思います(12月30日 火曜日 東地区"メ"ブロック-60b)。
同じく、スイカ決済を別の系統で準備した友人「太郎」さんの「とこしえ工房」(12月28日 日曜日 西地区"う"ブロック-10a)でも、スイカなどの各種電子決済の端末を個人で借りて、電源のない場所で使うためのノウハウをまとめた本を出します。当日は、私も売り子で参加していると思います。
コミックマーケットとは
1975年に始まった同人誌展示即売会です。コミケという略称で知っている人もいると思います。現在は夏(8月半ば)と冬(12月末)に開催されており、それぞれ夏コミ、冬コミと呼ばれています。
過去最大だった、2013年夏に開催されたコミケ84では、参加サークル数は約3万5000、3日間で約59万人が訪れました。また、2014年夏に開催されたコミケ86では、参加サークル数は約3万5000、3日間で約55万人が訪れました。
2014年冬のコミケは、コミケ87(87回目のコミケ)になります。
コミケは非常に大規模なイベントで、多くの人が狭い場所に集まるために、独特のノウハウがあります。また、スタッフの指示にきちんと従う必要があります。
コミケの細かな規則については、カタログ(参加サークルの一覧などの情報が掲載されている)に載っていますので、事前に、あるいは当日に購入して、目を通しておくとよいです。