「エンジニアが支持する本に賞を贈り、エンジニアの思いを世の中に広めるきっかけを作りたい」とスタートした同賞。セッションでは、事前に行われたWeb投票で上位に選出された技術書・ビジネス書、計6タイトルの著者や編集者が、書籍の魅力を伝えるプレゼンテーションを行った。おすすめ書籍の「読みどころ」が分かるプレゼン内容や授賞式の模様をお伝えする。
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バラバラに習得した知識がつながる“インフラ本”
書籍のプレゼンは、技術書3タイトル、ビジネス3タイトル冊の順で行われた。最初は、みやたひろし氏の『インフラ/ネットワークエンジニアのためのネットワーク技術&設計入門』。本書では「気持ちの悪いネットワークを日本からなくしたい」という熱い思いから、ネットワーク構築で最も大切と著者が考える基本設計が扱われている。基本設計の内容には、物理設計、論理設計、セキュリティ設計・負荷分散設計、高可用性設計、管理設計が含まれる。
本書は、技術パートで学習した内容を設計パートで実際に使うという特徴的な構成を持つ。これは、もともと技術書を読むことが好きだったみやた氏が、実際にネットワークを構築するときは本から得た知識をどう使えばよいか分からなくて戸惑った経験がもとになっている。散らばっていた知識がつながるように整理することを最も重視して執筆したという。
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『ハッカーの学校』にはPC初心者にこそ入門してほしい
技術書の2冊目は、IPUSIRON氏の『ハッカーの学校』。ネットワークの基礎とサーバー侵入をテーマにしたこの本は、PCに興味がある初心者や、PC書籍を初めて買う人を対象に書かれた。「最初は皆初心者。この本を通じてPCに興味をもち、そのうち一部の人がIT系に進んでくれれば」とIPUSIRON氏はいう。
ネットワークは、プログラマ以外の人にとって一番必要な知識と著者が考えるテーマ。また、本書では基礎を重視し、10年後にも無駄にならない知識を提供することにこだわり、あえてアタックの古典ともいうべきサーバー侵入を解説した。前半の解説編ではネットワークプロトコルの基本、後半の実践編では具体的なサーバー侵入の手法とツールが紹介されている。

楽しく問題を解いてプログラマ脳を鍛えよう
技術書の3冊目は『プログラマ脳を鍛える数学パズル シンプルで高速なコードが書けるようになる70問』。著者の増井敏克氏は、CodeIQの「今週のアルゴリズム」でこれまでに60問以上の問題を出し、回答者のソースコードを1年強で5700本以上読んできた。本書には、入門編から上級編までの問題、解くための考え方と解答例のソースコードが掲載されている。
プログラミングを学ぶ人たちが解きたくなるような問題があれば、楽しく解くうちにプログラミングができるようになり、もっと学習したくなるはずだ、という思いを増井氏は持つ。出題のポイントは、単純計算では解けないが、プログラムを作れば難しくなさそうで、身近な話題がテーマであること。問題作りのために、規則性があるものや論理的に説明できることを日常生活で常に探しているという。
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