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勉強会レポート

Pepper、BOT開発……最新技術はコミュニティで学ぼう! エンジニアが技術を習得するためのヒント

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BOTの可能性をみんなで共有する

 LINE/Facebook/Slack/Skypeなど、BOTの活躍する場はますます広がりを見せています。しかし、BOTは単なるインターフェースであり、「BOTと何を連携させるか?」という点が活用には重要なポイントとなってきます。そこで、Tech-Circleでは「BOTと他の技術を連携させることで新しいサービスを作ってみた!」という事例を共有するための勉強会を5月上旬に開催しました。

 この勉強会はハンズオンではなく、Tech-Circleメンバーおよび一般の参加者が大勢でLTを行う形式の勉強会でした。

 まず、冒頭でBOTの概要/今後の発展の可能性/実装するときの考慮.などの全体の発表があり、続いて各発表者から約5分程度でBOTとさまざまな技術やアイデアを組み合わせた事例のLT(ライトニングトーク)を行いました。

  • Chainer×BOT~話の内容を考慮するBOT
  • Googleスプレッドシート×BOT~ラクするチームリマインダー ラクリマくん
  • 翻訳×BOT 次世代グローバルチャット
  • 食べログ×BOT~最高のレストラン推薦BOT
  • 画像認識API×BOT~CDアルバム情報おしえてBOT
  • Zabbix×BOT~オペレータBOT
  • Repl-AI×BOT~ヘアサロンBOT
  • HMM×BOT~確率的恋愛シミュレーションBOT
  • Google Places API×BOT~旅するトラベルBOT

 深層学習フレームワークや対話AIなどの技術との組み合わせや、WebAPIとの組み合わせ、なかにはオープンソースの統合運用管理ツールであるZabbixと組み合わせた障害検知をする運用オペレータBOTなど面白いものもありました。IBM Watson NLCと隠れマルコフモデルという確率モデルを使って、LINEでの対話内容をもとに恋愛シミュレーションを行うBOTを作ってデモを行ったところ、みごとBOT AIに振られてしまうというハプニングもあり、会場は大いに盛り上がりました。このBOT開発を行った発表者のTech-Circle 坂本氏(TIS株式会社)は入社2年目の若手エンジニアですが、年齢や役職にかかわらず、技術力さえあれば自分がお勧めしたい技術を自由に発信できるのが特徴です。

Tech-Circleの勉強会の様子
Tech-Circleの勉強会の様子

 BOTの開発の特徴としては、従来のアプリケーションのような独自のUIがないため、利用者にどのような価値を提供するかがキーポイントとなります。特に、AIを活用した自然言語による対話およびコミュニケーションの技術は、今後、ロボットによる顧客対応やサポートデスクなどさまざまな分野での応用が予想されています。数多くの可能性を秘めたさまざまなアイデアの共有と参加者からの質疑応答などもあり、活発な勉強会になりました。

多様な人材の交流ができる勉強会を目指して

 Tech-Circleのメンバーは、人工知能の研究開発や大規模インフラの設計構築などに従事する現役エンジニアで構成されていますが、実は彼らが所属している企業はバラバラです。たとえば、最大級のビジネスSNSを手掛けるWantedly、ITトータルインテグレータである株式会社アーベルソフト、OSS統合監視ソフトウェアを提供するZabbix社、月間ユーザー数800万人のメディアと遠隔医療サービスを手掛けるポート株式会社、金融/製造業などのエンタープライズシステムを数多く手がけるTIS株式会社など、多様性に富んでいます。彼らは所属企業だけでなく、専門技術領域・担当業務もさまざまです。大学や研究機関との共同研究に従事する人工知能の研究職、OSSの導入を推進するテクニカルエンジニア、高負荷で大規模なコンシューマ向けシステムのインフラの構築・運用エンジニア、SDNを専門にする次世代ネットワークエンジニア、クラウドを使ったシステム構築のITアーキテクト、などがいます。

 Tech-Circleで取り上げる勉強会のテーマは、ある特定のプロダクトやプラットフォームに限定しているわけではありません。これも、Tech-Circleの大きな特徴でしょう。そのため勉強会では、複数のテクノロジーを組み合わせた大規模なハンズオンを多く行っています。そのため、メインテーマだけの技術や知識だけでなく、専門技術ドメインの異なるエンジニアが、自身の持つ知識が技術を持ちあい、共有/補完しあうことによって、勉強会を運営しています。もっぱら技術を習得することに貪欲なメンバーばかりであるため、自身の専門外の技術も学習や情報収集を欠かしません。

 さらにTech-Circleはメンバー間でのナレッジ共有だけにとどまりません。

 Tech-Circleの勉強会には、さまざまな参加者が集まります。そのためメンバーは、勉強会参加者全員と交流し、彼らと情報交換することに重きを置いています。なんとなく、勉強会への参加は敷居が高いなと感じられている人も、気軽に参加できるのが印象的でした。

 今後Tech-Circleでは、次のようなテーマの勉強会を検討しています。

  • FinTechで注目を集めているmijinを使ったBlockChain技術
  • マイクロサービスフレームワークであるLagom
  • OpenFlowコントローラを開発するためのTrema

 また、社会人エンジニア向けの勉強会だけでなく、夏休みには親子で参加できる小学生向けのプログラミング勉強会なども予定しています。

 上記以外にも、気になるテーマや参加したいハンズオンがあれば主催者に気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。

エンジニアが先端技術を学ぶためのヒント

 新しい技術を学び、これまで交流のなかった人たちと情報交換してイノベーションを創出するなど、今までなかったものにチャレンジするときは、その方法論に確たる正解があるわけではありません。これは、言い換えれば、失敗もないということです。Tech-Circleやカッコカリの取り組みは、ほんの一例にすぎません。

 しかし、エンジニアが、スキルアップする方法は案外簡単なのかもしれません。さまざまな人が多くあつまる勉強会などに参加して、まずは手を動かして自分でやってみる。自分の専門分野以外のエンジニアと広く交流して、新しい知識を得たり、今までになかった切り口を発見したりする。これを繰り返すことに尽きるのではないでしょうか。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 阿佐 志保(アサ シホ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9507 2016/06/27 14:00

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