ITエンジニアの本質につながるGoogleの考え方
中井氏は「個人的な見解」であることを断ったうえで、Google内でよく聞く言葉や考え方を、ITエンジニアの本質につながるものとして紹介した。
一番強調されるのが「User First(ユーザー・ファースト)」だ。いうまでもなく、コンシューマ向けの製品やサービスでは最も重要なのはエンドユーザーである。どれほど優れたテクノロジーでも、それがユーザーにとって役に立たないものであれば、意味がない。ユーザーに便利なものを作っていこうとする思いが込められているといえる。
「10×Thinking(テン・タイムズ・シンキング)」という言葉もまた印象深い。例えば業務改善を図る場合、テクノロジーの最適化により1~2割の改善は容易に達成できるが、10倍の効果を得るにはテクノロジーそのものを見直さなければならない。過去の常識に縛られず、技術的に何ができるかを常に考えること、イノベーションに対するマインドセットをもつことを促している。
そして、これらの言葉を後押ししているのは、徹底的に合理的な思考プロセスである。過去に例のない新しいことをやろうとすると、最初はうまくいかないのは当然のことだ。それを成功に導くには、失敗を繰り返し、その中で学んでいかなければならない。Googleでは、失敗でさえ計画の一部に含め、そこから学ぶことを前提として物事を進めていく。さらに、Warehose 1.1を本番投入する際に4ポスト構成に切り戻せる仕組みを用意したように、失敗しても被害を最小限に抑えるリスク管理の考え方も徹底している。
Googleのエンジニアは「Scrappy(ちぐはぐな)」や「Deprecated(廃止された)」といった単語をよく口にする。エンジニアが試行錯誤している時、作成中のシステムは当然きれいなものではない。Deprecatedはソフトウェアのバージョンアップで不要になった機能を指す際によく使うが、Google内では既存のテクノロジーは全てDeprecatedと見なされる。一度手に入れたテクノロジーはその瞬間から古いものになり、それを守っていくのではなく常に新しいものを考えていく意向がそこにある。
中井氏は、Googleの事例を通して「ITエンジニアの本質は何か」についてそれぞれの答えが見つかったのではないかと会場に呼び掛け、講演を終えた。
