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イベントレポート

Rubyが生まれた頃、そしてこれからのRubyを語ろう――まつもとゆきひろ氏×アーロン・パターソン氏【GitHub Satellite Tokyo】

GitHub Satellite Tokyo パネルディスカッション「Rubyが生まれた頃、そしてこれからのRuby」レポート


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 自然言語のように直感的な文法を持ち、楽しくプログラミングできるようにデザインされたオブジェクト指向スクリプト言語・Ruby。25年前に生まれたこの言語は、いまや世界中のエンジニアたちに愛されている。Rubyはいかにして生まれ、今後はどのように成長しようとしているのか。そして、その歩みにおいてGitHubはどんな役割を担ってきたのか。6月12、13日に初めて日本で開催された技術カンファレンス・GitHub Satelliteのパネルディスカッション「Rubyが生まれた頃、そしてこれからのRuby」では、その道程をRubyの生みの親・まつもとゆきひろ氏とGitHubソフトウェアエンジニアのアーロン・パターソン氏が軽快な口調で語り合った。

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左右
GitHub ソフトウェアエンジニア アーロン・パターソン氏(左)と、Rubyの生みの親 まつもとゆきひろ氏(右)

窓際族だったから、Rubyを開発できた?

アーロン・パターソン氏(以下、アーロン):まずはRubyのはじまりについて話したいと思います。Rubyはいつ何をきっかけに生まれたんですか?

まつもとゆきひろ氏(以下、まつもと):Rubyを作ったのは1993年です。今年で25年がたちますね。

 1993年というと、日本ではバブル経済が崩壊して景気が悪くなった頃です。当時の私はプログラマーとして働いていて、さまざまな企業で利用される社内向けツールの開発チームにいました。でも景気悪化に伴い、開発プロジェクトが継続できなくなってしまって。

 けれど、そのツールを使ってくださっている方々は世の中にたくさんいたので、何名かは担当者が必要だろうということになり、僕ともうひとりがサポートエンジニアとして残されました。でも正直あまりやることがなかったんですよ。窓際族でした。アーロン、窓際族ってわかりますか?

アーロン:ううん。わかりません。

まつもと:仕事がない人という意味。仕事がない人は窓のそばに座らせられるという理由で、日本語では窓際族と言うんですね。そこで、自由に使える時間を利用して作ったのがRubyでした。

アーロン:そうだったんですか!?

まつもと:今だったら多分、コンプライアンスの問題でできないですよね(笑)。でも当時は就業規則に、会社のコンピューターを使って作ったソフトは会社の著作物になりますとは書かれていませんでした。

 会社を辞めるとき「黙ってこんなソフトを作っていたんですけど、どうしましょうか?」と上司に質問したら「持っていっていい」と言われたので、そのまま持っていきました。あのとき上司がダメだと言ったら、Rubyは今ごろ世の中になかったかもしれませんね(笑)。

アーロン:本当に良かったですね(笑)。

RubyとGitHubはどんな関係?

アーロン:次はRubyとGitHubの関係についての話をしたいと思います。Rubyの開発者はGitHubを使っていますか? そして、RubyのコアチームとGitHubはどんな関係ですか?

まつもと:そもそもGitHubはRubyで書かれていますし、RubyGemsなど多くのRuby関連プロジェクトはGitHub上に置かれています。関係は深いですよね。

 でも、Ruby開発のコア部分は完全にGitHubに移行しているわけではありません。私たちはSubversionを使っています。けれど、Subversionだけでは運用上不便なことがあるため、GitHubにも公式のミラーリポジトリを設置しているんです。そのリポジトリでもPull Requestを受け付けており、レビュー結果をSubversion側に反映させています。

 GitHubに移行しないのにはいくつか理由があります。1つ目は、私たちが作成しているSubversionリポジトリとの連動ツールが、Subversionの挙動に依存しているため修正が大変だからです。

 2つ目は、Rubyコミッターの中に「GitHubそのもののソースコードは公開されていないため、オープンソース文化を厳密に守るのならば使うべきではない」という考えの方もいるからです。

 もし私たちがGitHubに移行すれば、その開発者たちを失ってしまいます。それはやりたくありません。だから、Subversionの中央管理とGitHubのミラーという形を続けています。ちなみに私自身は、GitHubのことが大好きです。

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この記事の著者

中薗 昴(ナカゾノ スバル)

 週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10908 2018/06/20 16:45

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