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2020年版Androidの非同期処理

JavaによるAndroid非同期処理の基本

2020年版Androidの非同期処理 第1回

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Javaでの非同期処理の基本

 非同期処理が概観できたところで、Javaによる非同期処理の記述方法を紹介していきましょう。

Javaの非同期処理のソースコードパターン

 具体的な解説に入る前に、Javaで単純な非同期処理を実行させるためのソースコードパターンを提示しておきましょう。それは、リスト1のコードとなります。

[リスト1]MainActivity.java
@Override
protected void onCreate(Bundle savedInstanceState) {
	〜省略〜
	BackgroundTask backgroundTask = new BackgroundTask();  // (1)
	ExecutorService executorService  = Executors.newSingleThreadExecutor();  // (2)
	executorService.submit(backgroundTask);  // (3)
}

private class BackgroundTask implements Runnable {  // (4)
	@Override
	public void run() {  // (5)
		Log.i("Async-BackgroundTask", "ここに非同期処理を記述する");  // (6)
	}
}

Javaの非同期処理の中心であるExecutor

 Javaには、マルチスレッドを効率よく扱うパッケージとしてjava.util.concurrentが用意されています。前節での解説の通り、Javaでの非同期処理は、すなわちマルチスレッド処理です。そのため、このjava.util.concurrentパッケージのクラス群を利用することになります。その中心となるのがExecutorです。

 ただし、Executorはインターフェースですので、実際にはExecutorを実装したクラスを利用します。実装クラスは自作することも可能ですが、通常はもちろんjava.util.concurrentに用意されたクラスの中から用途に合わせたものを利用します。

 さらに、利用する際も、該当クラスをnewするのではなく、Executorを実装したインスタンスを生成するファクトリクラスであるExecutorsのメソッドを利用して作成されたインスタンスを利用します。Executorsのインスタンス生成メソッドとして、主なものを以下に列挙します。

  • newSingleThreadExecutor()
    単純に別スレッドで動作するインスタンスを生成
  • newFixedThreadPool()
    指定のスレッド数を確保した上で処理を実行できるインスタンスを生成
  • newCachedThreadPool()
    スレッドをキャッシュした上で再利用できるインスタンスを生成
  • newScheduledThreadPool()
    別スレッドで指定時間おきに処理を実行できるインスタンスを生成

 リスト1では、単純に別スレッドにするだけで問題なく動作しますので、(2)のように、newSingleThreadExecutor()を利用しています。

Executorsによって生成されるExecutorService

 リスト1の(2)を見てもわかるように、ExecutorsのnewSingleThreadExecutor()メソッドの戻り値は、ExecutorServiceインスタンスです。ExecutorServiceというのは、Executorインターフェースの子インターフェースであり、このExecutorServiceインスタンスが、Javaで非同期処理を行うには便利です。

 具体的には、ExecutorServiceのsubmit()メソッドを実行することで、別スレッドで処理を実行、つまり、非同期処理が行われます。それが、リスト1の(3)です。

submit()の引数はRunnableインスタンス

 そのExecutorServiceのsubmit()メソッドは、引数としてRunnableインスタンスを必要とします。ただし、Runnableはインターフェースですので、その実装クラスを用意する必要があります。それが、リスト1の(4)であり、その実装クラスであるBackgroundTaskをnewしているのがリスト1の(1)です。

 なお、リスト1では、Runnableの実装クラスとしてのBackgroundTaskクラスをprivateなメンバクラスとして用意していますが、もちろん、クラス名はこの限りではありませんし、クラス自体を無名クラスやラムダ式として記述してもかまいません。本項では可読性を確保するためにメンバクラスとして記述することにします。

非同期処理の実態はrun()メソッド内の処理

 Runnableの実装クラスは、run()メソッドを実装(オーバーライド)する必要があります。それが、リスト1の(5)です。そして、ExecutorServiceのsubmit()によって実際に非同期で処理されるのは、引数として渡されるRunnable実装クラスのこのrun()メソッドに記述された処理なのです。リスト1では、(6)が該当し、ここでは単純にログへの書き出し処理のみを行っています。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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