位置情報や監視カメラのAPIを活用すればアプリケーションの可能性が広がる
Merakiプラットフォームには4つのAPIがある。管理に使う「Dashboard」、ゲストがWi-Fiに接続するための「Captive Portal」、位置情報を取得する「Scanning API」、監視カメラの映像を処理する「MV Sense」だ。
DashboardはPythonなどのプログラム操作はもちろん、Google スプレッドシートから一括更新することもできる。シート上で設定を管理し、処理を実行する時はメニューから関数を呼び出せばいい。Google Apps ScriptからDashboard APIをコールして処理する。実際、教育機関で使われている。
Scanning APIはWi-FiやBluetoothビーコンなどの情報を活用してユーザーの位置情報を取得する。例えば龍谷大学では学内者向けポータルサイトから、どのエリアがどのくらい混んでいるかを知ることができる。これはMerakiのScanning APIを活用している。
開発者として可能性が広がっているのが監視カメラのMV Senseだ。Merakiの監視カメラは従来の監視カメラソリューションの複雑さを排除し、シンプルで革新的なアーキテクチャになっている。画像はカメラ内SSDに録画し、オンボードのビデオストレージと処理するためNVRが不要だ。
Merakiの監視カメラには画像処理のAIが組み込まれているのも大きな特徴だ。定点観測から画像に変化があったところを検索することができる。例えばデスクの上からパソコンが消えた時間帯をリストアップできるため、録画を最初から早回しで再生して探す必要がない。
MV SenseのAPIを使えばさらに可能性が広がる。MV Senseには集約API、スナップショットAPI、リアルタイムAPIがあり、単独で使うこともサードパーティーアプリケーションと連携することもできる。例えばスナップショットAPIで画面内の人数を確認したり、スナップショットAPIで取得した画像を何らかのクラウドサービスに送り、画像認識結果を取得したりすることもできる。
片山氏が簡単なデモを見せてくれた。Cisco Webex TeamsのチャットからMeraki BOTにコマンドを送る形で操作できるような作りにしていた。手元にあるMerakiカメラで周囲を撮影し、AWSの画像認識サービスAmazon Rekognitionに送信する。ここで顔の検出や分析を行う。例えば性別は男性で、年齢は29歳などだ。YOLOとCOCOを使ったデモではマスク有り無しのデータセットでマスクをしているかどうかを判別した。
Cisco DevNetイノベーションチャレンジ 2020では、Merakiカメラを活用し、観光地の記念撮影を行うアプリケーションの作品もあった。映える場所で撮影した写真を観光客に提供するだけではなく、画像認識から観光客の属性(人数、性別など)をある程度推測してマーケティングに役立てる。今なら入店した客がマスクをしているか自動で識別したり、一定間隔で店舗内の人数をカウントしたり、コロナ対策や三密防止の活用も広がりそうだ。
- 参考:Merakiに関するさまざまなAPIは「Meraki Adventure API Lab 1.0」から確認できる
他にもPHONE APPLIはMerakiとCMXを駆使し、コロナ対策ソリューションを提供している。例えば社内で陽性者が発覚したら位置情報の履歴から、濃厚接触者を即時に割り出すこともできる。
実際に試すなら、DevNetのサンドボックスを活用するといいだろう。監視カメラなど機材が必要なら、シスコまたは代理店に相談すれば試用も可能だ(Meraki 製品トライアルのページ)。
Meraki活用について二人はこう話している。
「もともとはネットワーク出身なので、プログラミングを日々勉強しています。Merakiを通じてコードを書くのが得意な人とネットワークが得意な人が互いに歩み寄り、成長したり、いいアプリケーションを開発したりするなど発展していけたらいいなと思います」(脇中)
「MerakiのAPIは豊富にあり、簡単に始められます。カメラやセンサーとしての利用は身近で取り組みやすいと思います。分析エンジンなどオープンソースでいろいろとありますので、試してみてください。DevNetを活用しながら、まだ世の中にないものを作ることにチャレンジしてみてください」(片山)