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データ活用にまつわる課題を解決、進化し続ける「FileMaker」の魅力を大解剖!(AD)

「FileMaker」はローコード開発ツールながら経営にインパクトのある仕組みを内製化できる?――その魅力をFileMakerの開発者が解説

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FileMakerで開発する優位性、魅力とは

 では実際、小巻氏はどのようなシステムをClaris FileMakerで開発しているのか。ビルやマンションの洗浄などを請け負うメンテナンス会社では、紙と口頭のコミュニケーションによって行われていた現場作業を統合的に管理する仕組みをFileMakerで構築した。これまでは現場で問題が発生していても、それを管理し集計分析する仕組みがなかったため、潜在機会の損失やリピートの削減など、売り上げに影響する分析ができないという課題があった。そこでiPadを使って現場の報告を効率化するだけでなくカメラ機能を利用して細かい現場の状態もリアルタイムで取得できるようにし、現場作業を統合して管理できるカスタムAppを納品。

 「まだ一部の責任者が使っているだけですが、お客さまからは『開発スピードが速い』と、高評価をいただいています」(小巻氏)

 またもう1つ、ECビジネスを展開するクライアント企業では、自社サイトのほか大手ECモールにも出店しており、そこに掲載される画像をはじめ、在庫や原価、送料などの商品情報、マーケティング情報の管理、情報分析などを効率的かつ柔軟に行う仕組みがなかった。

 「例えばKPI指標に基づいて分析したいと思ったとしても、MySQLなどの一般的なデータベースだと、一旦ダウンロードすることが必要になりますがFileMakerであれば、その手間は不要です。社長自らが『これなら使えそう』と判断したこともあり、融通が利く仕組みができたと満足されています」(小巻氏)

 世の中にはさまざまなローコード開発ツールが登場している。だが、ワークフローやスケジュール管理、顧客管理、見積もり、受注、売り掛け、請求、買い掛け、入金など基幹システムと呼ばれるアプリを自社に合う形で選択しながら統合開発できるツールは少ない。FileMakerなら、このようなシステムを選択しながら統合し、内製で実現できるという。

 レイアウトの自由度が高く、帳票が簡単に作成できること、またステージング環境からプロダクション環境へのリリースが容易なため、本番運用後の対応がやりやすいこと、そしてやろうと思えば一人でヒアリングから運用保守まででき、お客さまからのフィードバックを受けたことを、すぐに編集してアプリ側に反映できるところがFileMakerの魅力だと小巻氏は語る。

 開発効率についても聞いてみた。例えば、Swiftを使ってバックエンドにデータベースを持つiOSネイティブアプリを作る方法を採用した場合、フロントのアプリはXcodeで作成できるため開発量は変わらないが、バックエンドのリアルタイムデータベースの環境を作成しなければならない。もちろんリリースするにはそれぞれテストしてマイグレーションが必要になる一方、FileMakerでカスタムAppを作成する場合は、バックエンドを気にすることなく開発が可能。

 「ネイティブアプリのほうができることは多いですが、FileMakerでは開発時間が少なくなるため、お客さまとのコミュニケーションにより時間をかけることができるので、手戻りが少なく、お客さまにとってもより満足度の高いアプリの開発が可能です」(小巻氏)

外部サービスとの連携のさらなる充実に期待

 FileMakerは、バージョン12からExecuteSQLやODBC/JDBCとの連携、バージョン17から、FileMaker Data APIの提供によりさらにさまざまなWebサービスとのAPI連携が可能になった。今後、FileMakerのどのような展望に小巻氏は期待しているのか。

 「外部連携と一口に言っても他のサービスからFileMakerに連携するケースと、FileMakerから他のサービスに連携するケースの2種類があります。先のケースに使われるのがFileMaker Data APIで、Claris Connectというワークフロー自動化ソフトウェアを使うためにリリースされたものだと思います。Claris Connectでは、ワークフロー連携ができるサービスの数を増やしています。その数が増えれば増えるほど、FileMakerのカスタムAppが連携する選択肢も広がります」(小巻氏)

 一方、FileMakerから他の外部サービスへの連携という意味では、バージョン16からcurlコマンドが使えるようになったことが大きいという。Microsoft Power BIやTableauなどのBIツール、SlackやChatwork、LINEなどのコミュニケーションツールとの連携が容易にできるため、例えばステータスが見積もりから受注に変わるとSlackに飛ばすというような仕組みが簡単に構築できるようになったと話す。外部連携がより容易になると、できることの幅も広がる。

FileMakerであればさまざまなツールとの連携が可能に FileMakerであればさまざまなツールとの連携が可能に
FileMakerであればさまざまなツールとの連携が可能に

 「FileMakerを利用したアジャイル開発は、ウォータフォールではなくアジャイルでの開発で多くても3人程度のスプリントでまわしていくのが基本です。もちろん、開発者自らがお客さまにヒアリングすることになります」と小巻氏が言うように、FileMakerプラットフォームでは、常にユーザーの顔を見て開発することになる。FileMakerで開発され企業で利用されているアプリはB2Cのサービスではないため、FileMakerで開発されたアプリを目にする機会は少ないものの、企業内の業務効率化を実現するツールとしてユーザーに役立つものが動いている。

 しかし、ウォータフォール型の開発エンジニアによってはユーザーの顔もわからず、直接ヒアリングすることもできない状況で仕様書通りにコーディングとテストを繰り返している人も多い。開発段階で疑問を感じたとしても、不要な機能や矛盾している機能を実装してしまうことがあるほか、もっと良い方法を提案できるものの、なかなかユーザー企業に直接提案することができない環境や状況にある開発エンジニアもいる。

 そのような開発エンジニアが、既存の開発とは別にUI設計にFileMakerプラットフォームを採用すれば、ユーザーにとって有効な価値の有る提案をすることができるはずだ。FileMakerは、正しく学びちゃんと開発すれば、ほとんどのケースで現場の課題を解決しユーザーのやりたいことを実現できるプラットフォームなのだ。

 もちろん、FileMakerに限らず、社内スタッフのスキルセットを見直すことでも、同様のことはできるかもしれないが、FileMakerは学習コストが安く、他の環境と比較しても良いプラットフォームだ。興味を持った人は、公式の学習教材をチェックして勉強してみてはいかがだろうか。

 「GitHubでは私を含め、海外の人たちが作ったものを確認できます。それを一度見てほしいです。FileMakerの可能性を実感してもらえると思います」(小巻氏)

 FileMaker関連の仕事が9割以上に及んでいる小巻氏だが、これまでもこれからも「お客さまの課題を解決するより良い方法を提案していくこと」をミッションに掲げ、事業に邁進していく。

FileMakerの学習コンテンツ

 FileMaker学習用動画コンテンツを集めた、Claris公式YouTubeのサブチャンネルです。FileMakerの公式テキスト『FileMaker Master Book』初級編および中級編を丁寧に解説する動画「FileMaker オンライン学習 初級編」「FileMaker オンライン学習 中級編」は、ご自身のペースで学習を進めるのにぴったりです。

 初級、中級、上級のレベル別テキストで体系的にFileMakerの学習ができます。PDF版は無償で提供されています。

 参加無料のWebセミナーやイベント、有償トレーニングなど、FileMakerについて学べるイベントが随時開催されています。

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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