対象読者
- ローコード開発プラットフォームやアジャイルソフトウェア開発に興味を持つITプロフェッショナル
- 多重下請けとウォーターフォールモデルによる一括請負契約ビジネスからの脱却を模索している中小のソフトウェア開発会社経営者、経営幹部
ITプロフェッショナルがローコードを活用する意義
はじめまして。本連載の執筆を担当する、株式会社ライジングサン・システムコンサルティングの岩佐と申します。突然ですが、皆さんに質問です。皆さんは「ローコード」という言葉にどのような印象を持っていますか?
「ローコード」と聞くと、ちょっとコードを書けるエンドユーザーが、重要性の低い中小規模システムを、本業の片手間でささっと作るためのツール……といった印象を抱く方もいるかもしれません。
実は以前の私も同じような印象を持っておりました。しかし、ひょんなことから、ローコード開発プラットフォームの老舗プロダクトであるClaris FileMaker(以降、FileMaker)に出会い、実際に手を動かして具体的なソフトウェアを構築したことがきっかけで、この考えが180度変わりました。
ローコード開発の本質は、ITプロフェッショナルの力をより効率的に発揮すること
ローコード開発の本質は、高い技術力と経験を持ったITプロフェッショナルが、ローコード開発ツールを活用することで、その力をより効率的に発揮し、ひとりでも多くのユーザに喜ばれるソフトウェアを高速に構築することが可能なことです。
また、従来のソフトウェア開発と比較して、より低い学習コストで高度なソフトウェア開発を高速に開発できるようになったことから、これまでにはない新しいビジネスモデルでの事業も可能となります。
本記事では、少しでもローコード開発、そしてFileMakerにご興味を持っていただくことを意図し、弊社が実際に営んでいるローコードを活用した新しいビジネスモデルを具体例として、ITプロフェッショナルがローコードを活用する本質に迫ってみたいと思います。
FileMakerと出会うも当初は抵抗感があった――今では必要不可欠なツールへ
先ほど自己紹介のところで「株式会社」と書きましたが、社員は雇用しておりません。実際にお仕事を承る時は、信頼できる開発パートナーとプロジェクトチームを組んで、ひとりでは対応できない規模のプロジェクトでも引き受ける体制にしています。私は現在、FileMakerプラットフォーム を活用した次の3つのビジネスを営んでいます。
- FileMakerプラットフォームを主軸としたソフトウェア開発の内製化支援
- FileMakerの高い開発生産性を活かしたプロトタイプソフトウェアの開発
- ITプロフェッショナルに対するFileMakerプラットフォームへのスキル移行支援
実は、この3つの事業を立ち上げる前は、一般的なITコンサルティングビジネスや、請負契約による受託開発ビジネスを行っていました。しかし、とある「大失敗プロジェクト」をきっかけに、FileMakerでのソフトウェア開発に携わることになります。
もちろん、最初は「本当にこんな素人さん向けのツールでまともなシステムが作れるのか?」という思いでスタートしたのですが、実際に手を動かして使い込んでいくうちに「これはプロが使えばものすごい能力を引き出せるツールなのでは?」と思いが変わっていきました。そして現在では、その思いは確信となり、自身のプロとしての強みを最も効率よく発揮することができる、私にとって無くてはならない「大切なパートナー」となりました。
その過程で、ローコード開発プラットフォーム、そしてFileMakerが持つ潜在能力をより活かすためには、従来のような請負契約の受託開発ビジネスではなく、もっと新しいスキームのビジネスがあるはずだと模索した結果、先の3つの事業にたどり着きました。