開発工程のボトルネックを見つけるには? チーム全体で探す方法
とはいえ、開発現場における課題感は千差万別であり、一概にテストの改善が特効薬になるとは限らない。テスト以外にも開発プロセス全体を見渡すとボトルネックがある可能性は大いに考えられる。
しかし全体を見渡してどこにボトルネックがあるかを自社で探そうとしても、なかなか難しい。自分の欠点はなかなか見出せないものだ。そこでアシストでは開発現場向けのソリューションとしてバリューストリームマッピング(VSM:Value Stream Mapping)を用いることでボトルネックを探すサポートをしている。
VSMは開発工程全体を見渡して、ボトルネックを探すのに使うツールや手法だ。トヨタ生産方式から生まれた「リーン生産方式」がもとになっている。実際のサポートではアシストがファシリテーターとなり、開発メンバー、運用メンバー、時には企画部も集めて製品がリリースされるまでの一連の流れをシェアしながらボトルネックを探す。例えばホワイトボードにそれぞれのタスクにおけるリードタイムやタスクごとに抱える課題を挙げていく。
こういう機会を設けてシェアする前は、それぞれの担当者だけが漠然と意識しているだけのことが多い。開発工程全体を関係者一同でシェアすることで、担当者だけで抱えていた課題がより明確になり、開発チーム全体の課題として共有される。若月氏は「全体でシェアすることで、自分たちにとって本当に取り組むべき課題が明らかになることが多いです」と語る。
ある企業では「開発プロセスを見直したい」がきっかけでボトルネックを探すことにした。事前の段階では保守改修時にデグレードが多い、トラブルが多いなどが課題として挙げられていた。実際にVSMを実施してみたところ、いくつかの課題が明確になった。
1点目はコーディング規約が陳腐化していた。不要なコメントが多く、コードの可読性が悪いことが明らかになった。これは生産性や保守性に悪影響を与えるため、コーディング規約を見直し、かつ最新の規約を徹底することにした。
2点目は承認プロセスに不備があった。開発工程にはレビューやチェックなどさまざまな承認プロセスがある。全体を見渡し、不必要な承認は削ることにした。また、ある承認プロセスは開発工程の終盤にあり、そこでNGが出ると手戻りが多くなっていた。このプロセスは手戻りが少なくなるようにタイミングを前倒しした。こうして承認プロセスを効率化するように整備した。
従来こうした全体工程を見渡してボトルネックを探すとなると、管理者が行うことが多く、現場の意見が反映されないことがほとんどだった。VSMのような標準的な手法であれば関係者全員の意見が反映され、みんなで使えるため関係者一同で課題を共有できるというメリットもある。
開発現場のボトルネックは開発チーム、プロジェクトまたはプロジェクトの進ちょく段階により変化することもある。また課題は短期的に解決できるものと、中長期で取り組まなくてはならないものもある。多種多様な課題を整理するための第一歩としてVSMを活用するのが良さそうだ。
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DevOps推進ソリューションとは、「圧倒的なスピードで高品質なアプリケーションをリリースし続ける」ことを目的としたDevOpsの推進を支援するソリューションです。開発プロセスを可視化するサービス、CI/CDを実現するITツールのご提供、そして、DevOpsトレーニングとIT運用改善サービスがセットになっています。
加えて、一般的な開発フェーズに沿った課題解決サービスも提供しているため、開発全体の最適化を目指す方、特定のフェーズに課題をお持ちの方いずれも、自社に合わせて活用いただけます。