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Developers Summit 2023 セッションレポート

AIの第一人者松原仁氏が語る、AIの今と人間のあるべき姿とは?

【9-B-1】AIはどこまで来てどこに向かうか

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人間の社会課題を解消するAIの実装例

 最近のAIは、ディープラーニングを代表とする機械学習の技術が大きく進歩した。ディープラーニングを動かすのに有効なGPUが出てきたことが要因として挙げられる。そこにGAFAやBaidu、Tencentといった企業がこぞって大量投資を進めているのだ。

 欧米からスタートしたAIは、依然としてアメリカがトップである。その後、ヨーロッパが続いていたが、最近は中国が急速に伸びて、アメリカの次の地位まで上り詰めている。中国だけでなく、台湾、インド、韓国などアジア勢も伸びているなか、現在の日本は、アメリカ、中国に次ぐ3位グループに属している。

 そんな日本ではAIをどのように社会実装しようとしているのか。松原氏が現在、取締役会長を務める株式会社 未来シェアの事例を紹介しよう。

 地方では高齢化と人口減少により、公共交通の維持が難しくなっている。路線バスの便数が少なくなる一方、高齢で車の運転が難しくなった人が多く、過疎地でどう移動手段を確保するかが非常に大きな問題となっているのだ。

 そこでマルチエージェントシステムというAIの技術を使って、路線バスよりも便利でタクシーよりも安い公共交通の実現を目指し、「SAVS」が開発された。SAVSをひと言で説明すれば、乗合タクシーだ。利用者が「どこから何人で乗って、どこで降りるか」というデマンドを送ると、最も効率的な配車をAIが判断し、自動でドライバーに送迎指示が出される。送迎途中で別のデマンドが入れば、現在乗車中の人たちを降ろしてから向かった方がいいのか、それともルートを変えて途中で新しい乗客を拾った方がいいのか、走行距離や予想待ち時間を考慮しながら、リアルタイムで最適な配車ルートが計算される。

SAVSによって公共交通がどう変わるのか
SAVSによって公共交通がどう変わるのか

 SAVSにより、車両数で最大限の輸送効率を引き出すことができるため、運行事業者としても収益を最大化できるし、利用者としては1人でタクシーを呼ぶよりも割安に利用できる仕組みになっている。利用者はスマートフォンアプリからデマンドを出せるほか、スマートフォンを使えない人はコールセンターに電話することで代行入力してもらうこともできる。SAVSはこれまでに全国延べ100か所で導入されている。

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AIは道具、正しい使い方ができる未来のために

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

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