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Developers Boost 2023 セッションレポート

「LIPS」深澤氏が考える、AI時代に組織で活躍するエンジニアとは?──ソフトスキルで磨く、成果を出すための「基礎体力」

【Session1】激動の時代を生き抜くためにU30が身につけるべきソフトスキル


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エンジニア出身起業家が教える「ヒューマンスキル」を身に付けるためのポイント

 それでは、4つのスキル、「テクニカル」「ヒューマン」「マネジメント」「コンセプチュアル」をどのように育て、投資していくのか。まず、テクニカルスキルは勉強することが一番であり、さらにマネジメントについては会社や立場によってコンテキストが異なる。また、コンセプチュアルスキルは最も複合的かつ広範的なスキルであり、仕事の経験の中で徐々に培われ、短期間に促成できるものではない。そうなると、積極的に投資すべきなのが、どんな立場でも必要とされる「ヒューマンスキル」というわけだ。

 深澤氏は、組織の中で評価され、自分が希望する方向に進んでいくためには、ヒューマンスキルが必要だと話す。そして、ヒューマンスキルを身に付けるためのポイントとして次のような5項目を挙げた。

1. まずは信頼関係を構築する

 相手の立場や考えを解読・受容し、相手のニーズをくみ取って共感することから始め、日々の業務で短期的にしっかり目に見える成果を上げる。自分のスキルや能力など大切にしていることを先にアピールしたくなるが、自分が「相手のコンテキストにおいて」メリットになると伝えることを優先する。

2. 意見を正しく伝え、落とし所を探す

 相手を尊重しながら自己表現を行う「アサーティブコミュニケーション」という技術があるように、「怖がって主張しない」と「言いすぎて喧嘩になる」の間の調整を図りつつ、伝えるべきことを伝えて落とし所を見つけることが重要。高いレベルの意思決定者ほど「事業にとってよい意思決定になるのならそれがベスト」と考えており、「こうしたほうが得」という情報は伝えられることが望ましい。

 その際に意識すべきは、どのような人にも仕事への誇りがあることだ。正論を振りかざしても嫌われるだけになってしまう。そこで、現実的な段階を踏んだコミュニケーションをすること、現状の否定だけをしないことが重要になってくる。快く動いてもらうイメージを持つようにすることが大切だ。また、どんなによい意見でも悪い態度をとると主張が通らなくなるばかりか、信頼さえ失ってしまう。そこで、怒りの感情をうまくつきあう「アンガーマネジメント」とストレス源をうまく対処する「ストレスコーピング」をぜひとも身につけたい。心理的安全性に気を配ること、納得できなければ説明を引き出す努力をすること、穏やかな対応とヒートアップしたら謝罪することなどに気をつけるだけでも大きな差が生まれる。

アンガーマネジメントとストレスコーピング
アンガーマネジメントとストレスコーピング

3. 組織の意思決定にコミットする

 深澤氏は「自分の意見を伝えるのも大事だが、会社は組織として意思決定する必要があり、多少納得していなくても、最終的に決定がなされたら全力で努力する方が、結果として得をする」と語り、アマゾンのリーダープリンシプルの1つである「Have Backbone: ; Disagree and Commit」を紹介。全力でやることで早く反証でき、次のPDCAサイクルでやり直せる可能性も高まる。また、自分の視点から見えていないこともあり、その時不合理に思えても後から見ると「こういうことだったのか」とわかることも多い。

4. 長期的に自分の意志とすり合わせる

 組織人として成果を出し、信頼を得てから、自分のキャリア的にもやりたいことを上手く組織に織り込んだり、すり合わせたりする。その方が、実は効率的に進みたい方向に進んでいくことができる。折り合わなければ、交渉や転職もアリだろう。深澤氏は「『成果を出すための基礎体力』を蓄えておこう」と語った。

5. 自分の可能性を限定しない

 コンセプチュアルスキルの1つである「オープンマインド」で事業に向き合うことが大切だ。「今自分はこれが得意」「この仕事をやるつもりで入ったから」といって仕事を限定するのはもったいない。事業の課題解決に必要なものならば、何でも積極的にやってみたほうが良いだろう。それによって思わぬ学びがあったり、他者への理解が深まったりする。さらには「成果を出せる人」として信用を勝ち取り、組織内でのやりたいことにつながっていく。

 最後に深澤氏は、「技術の抽象化が進み、知識の陳腐化がさらに早くなる中で、特定ドメインのテクニカルスキルだけでなく、戦略的にスキルを学び、組み立てることが大事。中でも軸となるヒューマンスキルが特に重要であり、それを発揮することで組織人として最短で成果をあげられるはず。ぜひ、みんなで活躍していこう」と語り、セッションのまとめとした。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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