式言語の利用
前回紹介したように、データバインディングを利用すると、画面部品に反映させたいデータ項目を、レイアウトxmlに定義しておくことで、アクティビティから簡単にデータを反映できるようになります。今回は、まず、そのデータを反映させるコードのバリエーションを紹介しておきます。
サンプルデータは、GitHubから参照できます。
式言語にはさまざまな演算子が利用可能
例えば、前回のリスト1で定義したrandNumを、以下のようにdoubleで定義したとします。
<variable name="randNum" type="double"/>
その上で、この値を使って次のように@{ }内で計算したものを利用することも可能です。
@{randNum * 10}
このような記述方法を、式言語といい、Javaで用意されている演算子が問題なく利用できます。これらの演算子は、+や*のような算術演算子だけでなく、==や!=の比較演算子や&&や||の倫理演算子、さらには、キャストや三項演算子も利用できます。なお、比較演算子の<は、エスケープして<と記述する必要があります(>はそのまま記述できます)。
text属性にはString変換が必要
この@{ }を利用する際に、注意点があります。この注意点に関しては、あえて前回紹介していません。そのため、前回のリスト9で、乱数という数値を表す変数なのに、randNumのtypeがStringに疑問を持った方がいるかもしれません。実は、text属性に対して@{ }を記述する場合、その値は必ずStringでなければなりません。そのため、前回では、あらかじめrandNumはStringとしておきました。
これを前項のように、乱数らしくdoubleとする場合は、次のように、Stringに変換するコードを含めておく必要があります。
android:text="@{String.valueOf(randNum)}"
となると、前項にあるようなこのrandNumを10倍した値を表示させたい場合は、以下のようにやはりStringへの変換が必要です。
android:text="@{String.valueOf(randNum * 10)}"
staticメソッドも利用可能
text属性にはStringへの変換が必要な点だけ注意しておけば、この@{ }内にはそれなりに複雑な式が記述できます。その際、JavaのAPIで用意されたstaticメソッドも利用可能です。例えば、以下のコードは、randNumを10倍した値を整数に四捨五入した値を表示するコードです。
android:text="@{String.valueOf(Math.round(randNum * 10))}"
このように、式言語を利用すると、それなりに複雑なコードを記述し、その結果を表示したり、あるいは、表示・非表示の切り替えなど、画面部品の表示形式を変更したりできます。ただし、これは、あくまで原理的にできるだけであって、お勧めしません。なぜなら、レイアウトxml内にロジックが入ることになり、コードの可読性が下がるからです。この問題を解決するには、やはり計算や加工、表示形式を決定するための判定などは、Java/Kotlinクラス内に記載した方がよいでしょう。その解決方法を次に紹介していきます。