「技術に自信が持てない」……入社7年目、中堅エンジニアの悩み
1999年設立のウエディングパークは、2004年に日本初の結婚式場クチコミサービスを開始し、海外挙式、ウエディングドレス、フォトウエディング、結婚・婚約指輪など、結婚に関連する各領域に特化した専門メディアを運営している。メディア事業に留まらず、式場向けノーコードツール、デジタル広告、DX推進、オンラインスクールなどを通じて、デジタル技術を駆使し、ウエディング業界の発展を支援している。業界としては、コロナ禍の中で結婚式数は減っていたが、現在は徐々に回復している状況だ。
登壇した髙嶋氏は、2017年にウエディングパークに入社し、広告運用チームでの開発を経験。その後、2020年にWedding Park DRESSのチーフエンジニアに就任した。コンテンツのリニューアルやPHPのバージョンアップなど、サイトの開発全般を担当している。
髙嶋氏が担当するWedding Park DRESSは、全てのカップルが理想の衣装に出会える世界を目指しており、衣装探しを楽しむカップルとドレスショップの新たな接点を創出している。具体的には、結婚式場を決定したカップルが提携ショップで衣装を試着し、選択する流れをサポートしている。このサービスは、ショップに理想の衣装がない場合も含め、カップルに最適な衣装を見つける手助けをしている。
Wedding Park DRESSでは、掲載されているドレスショップへの試着予約、衣装に関する問い合わせ、資料請求が可能であり、先輩カップルのドレスショップや衣装に関するクチコミも閲覧できる。さらに、ブランド、着られるエリア、衣装タイプなど多様な軸から衣装を探せる機能や、人気衣装のランキング閲覧機能も提供されている。
髙嶋氏は、このサイトのリデザインを通じた学びの前提として、まずウエディングパークの「デザイン経営」について紹介した。これは、社会が本質的に求めているニーズに応える事業運営のことだ。ビジョンの実現に向けて、サービスや事業展開、組織構造、プロモーション戦略を検討しつつ、顧客や社会のニーズとのバランスを考慮した形で進められている。またそのために必要な考え方として「バックキャスティング」がある。運営上の課題を一つずつ解決する「フォアキャスティング」に対し、将来の理想の姿を描き、それを実現するために必要な大きなチャレンジを特定するアプローチである。
Wedding Park DRESSでは「全てのカップルが理想の衣装にまっすぐに出逢える世界を実現する」をビジョンとして掲げ、その実現のためにサイトを大幅にリデザインする決断をした。髙嶋氏は「より大きなチャレンジをして、もっとより良いメディアにしていくべきだと考え、リデザインを決断しました」と語った。単に見た目の変更に留まらず、メディアの価値を再考し、サイトを根本的に刷新することにしたのだ。
髙嶋氏は当時、ウエディングパークに入社して7年目の中堅エンジニア。リデザインを決断したものの技術に自信が持てないという悩みを抱えていた。社内の憧れのエンジニアが示す、技術を活用したシステム改善の提案に対しても、自らの技術力の不足を痛感していたという。周囲には技術に情熱を傾けるエンジニアが多い中、自身のエンジニアとしての存在意義に疑問を持つようになった。
そんな中、「はたなに」という社内イベントで転機が訪れた。このイベントは、エンジニアとデザイナーが「働く」をテーマに、カジュアルにトークするもの。ランチタイムの約1時間を利用し、毎回エンジニアが2人発表する形式で月に1回から2回程度の頻度で開催されていた。なお、イベントが始まったきっかけは、2022年のWomen Developers Summitだという。
「はたなに」に参加した髙嶋氏はそこで、働く意味やエンジニアとしての未来について深く考えた。そしてエンジニアとしての自己認識を新たにし、事業に貢献できるエンジニアとしての道を積極的に歩むことを決意した。
「エンジニアっていうのは、たくさんの人を幸せにするものづくりができる、誇れる職業だと改めて思いました。ウエディング業界・ドレス業界を変えられるエンジニアは私達だけではないかと考えるようになりました」(髙嶋氏)