若手の段階からキャリアについて高い解像度で考えることができる工夫
開発部門の研修では、内容をスキル系、知識系、心得系と3つに分類し、広く浅く学んでもらう。そうすることで自分にとって楽しいと感じるものが何なのかという感触をつかんでもらう。
さらに解像度を高めるために、キャリアで先を歩んでいる先輩社員との交流機会を設けている。新人は常に1年先輩のメンターが伴走しているが、その他にも3〜5年先輩との1on1や、10年以上の先輩たちとの座談会もある。
久保本氏と鏑木氏の場合、1on1は毎日実施していた。久保本氏は鏑木氏に対して、研修がその後の実務とどう結びつくかを理解できるように話を進めていたそうだ。他にも、久保本氏は年代が近い同僚との1on1を鏑木氏に促していた。例えば久保本氏の同期で1年目からバリバリとコードを書いていたエンジニアを鏑木氏に紹介したところ、鏑木氏は「自分もがんばらなきゃ」と大いに刺激になったそうだ。
久保本氏は「メンターとメンティーだけで閉じようとせず、優秀な同期に頼ることができてよかったです」と話す。他にも鏑木氏はマネジメントに興味があったため、マネージャーと1on1することで「マネージャーの仕事のやりがいや難しさも知ることができてよかった」と話す。
こうして開発部門の教育が終わるころ「ふりかえり」を行う。ふりかえりは「Fun:楽しかったこと」「Done:やったこと」「Learn:学んだこと」の3つの観点からまとめて発表する。加えて、配属先の希望・野望と自己アピールも行ったうえで、配属先が決まる。
実際に久保本氏と鏑木氏がどのような「ふりかえり」をしたのかを見ていこう。
まずは久保本氏。「Fun」は仲間とプログラミングすること。当初エンジニアは寡黙にプログラミングするイメージだったが、モブプロをすることで孤独な作業ではないと理解できた。「Done」は同期の中でいち早くQiitaに記事を投稿できたこと。「Learn」は仮説を立てながらソースコードを読んだり、実装したりすることの重要性だ。「野望と自己アピール」では、久保本氏は「創意工夫して機能追加や改善に取り組みたい」「ゆくゆくはマネージャーとなりチームメンバーの成長を促進したい」と発表した。
続いて鏑木氏。「Fun」はWebアプリに好きな機能を実装することを体験できたこと。「Done」は研修中に毎日Javaを書くと決めて実施したこと。Javaは未経験だったものの、続けることでコーディング力が高まったことを実感できた。またプログラミングスクールでのアルバイト経験を活かして、同期向けにSpring Bootの勉強会を企画・開催した。「Learn」は学生時代に体験しなかった、テストを書くことやAWSに触れることなど。「野望と自己アピール」では「元々ものづくりが好きなので、将来的には製品をゼロから作るような経験をしてみたい」と述べた。