SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

Developers Summit 2024 セッションレポート

生成AIでソフトウェアテストはどう変わる? 和田卓人氏、川口耕介氏、近澤良氏が語る

【15-A-9】AI時代のソフトウェアテストの現在と未来

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ソフトウェアテストの自動化やローコード・ノーコードツールへのAI技術導入が急速に進んでいる。とはいえ、生成AIはいまだ研究段階にあり、日本でも海外でも有効な活用方法を模索している途上にある。本セッションでは、ソフトウェアテスト領域のトップランナーである3人、Launchable,Inc共同社長の川口耕介氏、プログラマでテスト駆動開発者の和田卓人氏、オーティファイ株式会社代表取締役 CEOの近澤良氏が、生成AI時代のソフトウェアテストの現状と課題、これからの展望について語った。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

海外と日本のソフトウェアテストの現状

 アメリカに住み、20年間アメリカのソフトウェア開発現場を見続けてきた川口氏は、「故郷に錦を飾りたい」という思いから、日本でもJenkinsやDevOps、ソフトウェアテストのような取り組みを進めていきたいと考えている。しかし、取り組みの中でいろいろな難しさを感じ、日本と海外のソフトウェア開発がどのように違うのかに関心を抱いた。

Launchable, Inc. Co-CEO 川口耕介氏
Launchable, Inc. Co-CEO 川口耕介氏

 「アメリカ連邦政府の官公庁系はさまざまなシステムを展開しているが、ソフトウェア開発者は給料が高すぎて雇えない。そのため、案件をSIer企業に出すということをしている。つまり、アメリカでも一部の産業では、日本のSIer構造とよく似た形になっている」と川口氏は話す。

 また川口氏によると、ヨーロッパでは製造業や金融が盛んだが、多くのチームではテストをインドのSIer企業へ投げているという。インドにはテストで世界を席巻するような巨大なSIer企業が多く存在し、契約構造上は日本のSIer企業と同じく下請けのような形になっているようだ。

 「それでも日本と違うのは、たとえテストチームがインドにあっても、社内で働いている人の視点ではあまり区別されていないこと。スキルのある人に対して、準委任契約のような形で時間をまるごと買い切っている感じ」。

 一方、「日本でもソフトウェアを内製化する企業がじわじわと増えている」と語るのは和田氏だ。自社で自動テストを行い、ソフトウェアを継続的に保守していくことに注目する会社は増えてきており、傾向としては海外テック企業に似てきていると話す。

プログラマ、テスト駆動開発者 和田卓人氏
プログラマ、テスト駆動開発者 和田卓人氏

 「ただ、そういったスキルを持った人が社内に基本あまりいないので、外を頼ろうという形になる。その契約の際に準委任契約か、それとも受発注の関係になるのかによって、うまくいくか、いかないかが変わってくる」と和田氏。

 海外と日本における業界構造の違いは「タレントプールが関係しているのではないか」と近澤氏は考える。特にインドのタレントプールの勢いはすさまじく、QA(品質保証)の数が圧倒的に多いというのだ。「英語圏だと、お金があればインドのタレントを容易に採用できる。でも日本には日本語という言語のバリアがあり、なかなかインドのエンジニアを採用できない。これが開発のプロセスに与える影響は大きい」と近澤氏は話す。

オーティファイ株式会社 近澤良氏
オーティファイ株式会社 代表取締役 CEO 近澤良氏

 ただ、テストチームがインドにあるという海外事例は、良いことばかりでもないようだ。物理的に離れているため、どうしても距離感が生まれてしまう。「よく、『テストは開発プロセスにもっと融合して組み込まれるべき』という理想論が語られるが、実態は旧態依然そのもの」と川口氏。

 テストはテストのチームに分かれ、インドのタイムゾーンで働き、開発は別のグループで働いている。実質的に時差の壁、開発とQA間の壁は今なお存在しており、縮図としては日本とあまり変わらないところも多いようだ。

次のページ
開発現場に浸透するAI活用、一方でテストはどうか?

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Developers Summit 2024 セッションレポート連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山出 高士(ヤマデ タカシ)

雑誌や広告写真で活動。東京書籍刊「くらべるシリーズ」でも写真を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/19229 2024/06/27 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング