メール送信の課題に常に寄り添う「SendGrid」とは
SendGridは、米国の3人の開発者によって創業されたスタートアップである。創業者たちはもともと別のウェブサービスを提供していたが、そのサービスが軌道に乗りメールの通数が急増したときにさまざまな困難を経験したことから、同じような課題を持つ開発者向けのメール送信サービスとしてSendGridを作った。
SendGridの特長は、巨大なインフラによる高速配信、豊富なAPI、各種ガイドラインや規制にもグローバル標準で対応していることである。そのため、開発者は送信数の増加やメール特有の問題を気にすることなく、本来のサービスの開発に注力することができる。
中井氏は「メルマガ送信に時間がかかってしまうので、SendGridの利用を始めたというお客様も多いです。現在は月に約1500億通、サイバーマンデーには1日に100億通を送信しています。小さなスタートアップから大企業に至るまで、数千通から数十億通という幅広い規模のお客様のニーズに対応しており、それがSendGridの大きな強みです」と説明した。
また、メールの開封やクリックを検知する機能、配信停止や迷惑メール報告のフィードバックを受けて管理する機能を備えている。配信停止や迷惑メール報告があったアドレスに対しては、送信しようとしてもSendGridが自動的に破棄する。機能は全てAPIでも提供されており、開発者は自由にメール送信や配信停止先のリストの取得ができる。
メール規制は、セキュリティおよびユーザー体験の向上が主眼だ。対応が面倒だからといってメールの利用をやめる動きはない。中井氏がSendGridに関わりはじめた頃は、メールの時代は終わりその他の技術に置き換わるのではないかという風潮があったが、デジタルIDとしての重要性や、多くの人にリーチできる手段としてその価値が見直され、メールの送信数はむしろ増え続けている。
「メールは読みたいときに読めます。領収書などもメールで送られ、履歴としても活用されています。メールの用途は多少変わっていますが、実質的な代替手段はなく、なくなることはないでしょう。そして、業界団体や私たちが新たな仕組みをつくることで、まだまだ進化していくでしょう」
SendGridは、ユーザーにとって便利な機能を継続して追加している。セキュリティやプライバシーの強化にも力を入れており、様々な地域で新たに定められる法規制にも迅速に対応している。安心と安全を提供するという意味で進化しているのだ。
構造計画研究所はSendGridのリセラーとして、日本市場への適合に配慮している。プロダクトの開発は全て米国で行われているが、日本の顧客向けのドキュメントの作成、マーケティングマテリアルの制作、サポートの仕組みはすべてオリジナルで展開している。日本円での請求書払いにも対応している。日本企業への手厚い支援が構造計画研究所の提供する価値となっているのだ。
「これらの対応は普通と思われるかもしれませんが、私たちには顧客体験を高めるためのこだわりがあります。例えば、問い合わせ対応ではお客様の困りごとを深く考え、単なる定型的な返答に留まらず、お客様のニーズに基づいた具体的な提案を行うよう心がけています」
サポート対応だけでなく、コミュニティやハッカソンなどのイベントに参加し、対外的な情報提供なども実施している。積極的な営業ではなく、困っている人に役立つ情報を提供することで、信頼を築いているのだ。
Gmailのガイドライン変更で注目を集めたメールの世界。メールが届かなくなって初めてメールの規制や作法のことを知った人は多い。メールは決して枯れた技術ではなく、多くのユーザーが求め、そのためにさまざまな技術がアップデートされている。インターネットやデジタルサービスに携わる開発者に向けて中井氏は最後に次のようにコメントした。
「メール技術がアップデートされていることに気づいていない人も多いですが、より便利で安全に利用できるよう日々進化しています。単にメールの送信リクエストを投げれば届くという時代はもう終わりました。これからは、誰に、どのようにメールを送り、どう関係性を築いていくか、というところまで考えていく必要があります。ビジネスにおいてメールはとても有用で、消費者に好まれるツールです。最新の知識を習得し続け、有効に活用してください」
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