プラットフォームはビジネスに貢献し、組織を変革する
プラットフォームチームの成功事例として、Pais氏はadidasとUswitchの事例を紹介した。
adidasはソフトウェア開発を外注していたため、デリバリー速度が遅いという課題を抱えていた。そこで内製開発に転換し、開発チームのためのプラットフォームを構築した。その際プラットフォームチームは、持ち時間の半分を他のチームへのファシリテーションに当てることで、プラットフォームの円滑な採用に成功した。またプラットフォームチームは、技術的な言葉ではなく、ビジネス側が理解しやすい言葉でプラットフォームの成果を伝えることで、経営層の支持を勝ち取った。例えば、ビルド時間が減ったことでチームが節約できた時間、より良いデータサービスを利用できることで生産性が向上したこと、コンシューマ・サービスのメトリクスの改善などだ。
Uswitchはインターネット、電気、携帯などの価格比較サイトだ。最初は、それぞれの開発チームが独立して意思決定を行うことで、迅速に開発を進めることができた。しかし数年後には、インフラやツールの管理に手を煩わされ、開発チームは顧客への価値提供に集中しづらくなっていた。
そこでUswitchは、開発チームの認知負荷を減らすために、クラウドインフラチームを立ち上げた。ロギング、メトリクス、分析などのサービスをプラットフォームとして提供し、開発チームとのコラボレーションを通じてCanary Deployの実装や、プラットフォームのサポートの仕組みを確立することができた。この試みがうまくいったので、データ、マーケティングなど他の領域でもプラットフォームチームを立ち上げ、成果を横展開することにも成功した。Uswitchの事例は、新しいプラットフォームやサービスが必要になったときに、それに応じて組織にも変化が必要だということを示している。
「State of DevOps Reportによると、『プラットフォームは開発のベロシティに影響を与えたか』という質問に対し、7割の回答者が『ベロシティが向上した』と答えている。Platform Engineeringは、自社の競争力を強化し、差別化を図る上で非常に重要な要素となるだろう」と延べ、Pais氏は講演を終えた。