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Developers Summit 2024 Summer レポート

QAは「コスト」?「投資」? ソフトウェアテスト領域のトップランナーたちが考える、事業に貢献する「品質」の正体

【23-B-9】ソフトウェアテスト領域のトップランナーが語る!事業に貢献する品質保証とは

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 テスターやQAとして働くエンジニアは、IT業界全体の約2%を占めている。品質保証・向上に携わるなかで、バグだらけでも売れている競合ソフトを見て、「品質とは何か」という問いに直面する場面もあるだろう。「何をもって高品質とするか」。専門家レベルでも定義が難しい問題を前に、QAやテスターが事業に貢献するにはどうすればよいのだろうか。Autify・QAマネージャーの末村拓也氏、株式会社グロービスのQAチームでシニアエンジニアを務める河原田政典氏、株式会社10Xで品質管理部に所属する風間裕也氏に、品質保証と事業貢献の関係について聞いてみよう。

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顧客視点の「品質」定義はCSが握る

 約4年前にも講演を行った風間氏。当時を振り返り、「聴衆のほとんどが開発者だった」と懐かしそうに語る。

 そこから4年、状況はどう変わったのだろうか? 聴衆に挙手を求めると、QAやテストなど、開発以外の業務を担当するエンジニアが増えていることがわかった。品質保証やテスト部門への風向きが追い風に変わりつつある。そんな傾向を匂わせる会場を前に、河原田氏は「テストもしっかりとした技術だという認識が広まってきている」と期待を寄せる。

 最初の議題は、「『品質が悪いせいで製品が売れない』と言われたらどうするか」だ。製品が売れない背景にはさまざまな要因が考えられるが、製品の品質がやり玉に挙げられた場合、どうアプローチするのが良いだろうか。

株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏

 河原田氏は、「"品質"の正体を明らかにする」事から始めると話す。たとえば、ある顧客はレスポンスの遅さを嫌っており、別の顧客は、多機能性やセキュリティの堅牢性を求めているとする。この場合、それぞれの顧客が求める「品質」、および対応は異なってくるはずだ。

 だからこそ、適切に「品質」を定義するには、CSの協力が不可欠だ。河原田氏は、「カスタマーサポートの方にウォークスルーをしてもらうと、想定していた仕様では足りない部分や、お客様が実際に使用する姿が見えてくる」と経験を語る。さまざまな部門を巻き込むことで、顧客が本当に求める「品質」を実現しようとするアプローチだ。

 河原田氏はさらに、チャーンレート(解約率)やLTV(契約から解約に至るまで、顧客1人当たりが生み出す利益)をKPIとして設定することで、「品質が悪い」の中身や、「売れない」「使い続けられない」理由を推測できると示す。定量/定性の両輪で分析することで、「品質」と「売れない」の行間を埋めていくわけだ。

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将来的な「品質」を探ることも重要

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この記事の著者

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

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