将来的な「品質」を探ることも重要
一方の風間氏は、「売れない」について、「まだ製品を買っていない人」「買ってくれたものの、品質の悪さで離脱した人」を分けて考えると話す。このうち大切なのは後者で、「どの部分が気に入らないのかを直接聞けるチャンス」と前向きに捉える。一方で前者は、「仮に表面的な品質を改善しても、”顧客が本当に求めているもの”にヒットしていなければ、結局のところ買ってくれない可能性がある」と割り切る姿勢だ。
実際に10Xでは、ネットスーパーでのピッキング(売り場から注文された商品を集める)作業時に活用されるアプリを開発するにあたり、エンジニアが店舗に赴いて現場の使われ方を確認し、どこが使いづらいのかを特定している。KPIなどのマクロ的なアプローチに加え、現場のオペレーションを確認したり、実際に使う従業員にインタビューを行ったりといった「現場主義」のミクロ的な視点を持つことが、品質向上には不可欠なのだ。
ユーザーインタビューは、率直なフィードバックの宝庫だ。「あるとき、視覚障害者の方にエンドユーザーとしてネットスーパーを利用してもらったところ、文字の読み上げ機能に大きな課題があると分かった。『これでは使えないよ』と痛烈なフィードバックをいただいた」。まさに、インタビューだからこそ得られた改善のチャンスだ。