インライン関数における関数型引数のデフォルト値
Kotlinの関数に関する変更点の最後に紹介するのは、バージョン1.2で導入されたインライン関数に関する変更点です。インライン関数というのは、イメージ的に、コンパイル段階でその呼び出しコードが埋め込まれる関数のことです。
例えば、リスト8のexecIntArrayProcessor()をmain()関数内で呼び出したコードは、コンパイルされた際でも次のような呼び出しコードのままのイメージです。
fun main() { execIntArrayProcessor(::sumArray) }
このexecIntArrayProcessor()関数を、次のように、インライン関数としたとします。
inline fun execIntArrayProcessor(…) { : }
この場合は、execIntArrayProcessor()の呼び出しコードは、コンパイル段階でそのソースコードが展開され、次のイメージとなります。
fun main() { val array = intArrayOf(3, 5, 7, 9) val ans = sumArray(array) println("計算結果: ${ans}") }
このようなインライン関数の引数が関数型の場合、リスト20のようにデフォルト値が定義できるようにバージョン1.2で変更になりました。引数processorには、=でラムダ式が記述され、その中でリスト10のsumArray()関数を実行するコードを記述しています。結果、processorのデフォルト値は、sumArray()関数の実行ということになります。
inline fun execIntArrayProcessorInline(processor: (array: IntArray) -> Int = { sumArray(it) }) { : }
このようにデフォルト値が設定されたインライン関数の実行コードでは、もちろんリスト21のように引数を渡さない場合と渡す場合、両方とも問題なく動作します。(1)の引数を渡さない場合では、デフォルトのsumArray()が実行される一方で、引数が渡される(2)では、その引数のmultiplyArray()関数が実行されます。
execIntArrayProcessorInline() // (1) execIntArrayProcessorInline(::multiplyArray) // (2)
まとめ
Kotlinのバージョン2.0までに導入された新機能をテーマごとに紹介する本連載の第2回は、いかがでしたでしょうか。今回は、関数に関するアップデートを紹介しました。次回は、クラスとインターフェースに関するアップデートというテーマで紹介します。