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話題のあの人にインタビュー!

クリプトン佐々木氏に聞く 「初音ミクムーブメントの当事者が今思うこと」

あの熱狂と、ピアプロ、そしてキャラクター・ボーカル・シリーズ第3弾


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ピアプロをやってよかった

佐々木
初音ミクの盛り上がりは、夏頃から社長と「すごいねぇ」と言いながら見守っていたんですが、そのうちユーザーの熱気にこちらも巻き込まれていきまして。最終的にはこの盛り上がりの手伝いができないかと考えるようになって始めてしまいましたね。

俺が見てみたいもん!
デブサミ2008のセッションの中で佐々木氏は、「非常に忙しい時期だったにもかかわらず、社長が『ピアプロを作る!』と言ったときは、思わず『なぜ!?』と聞いてしまった。すると社長は『みんなが作ったものを俺が見てみたいんだもん』と言い切ったんです」というエピソードを紹介している
編集部
ピアプロは社長が作ったんですか?
佐々木
はい、社内のエンジニアと一緒になって、社長がプロデュースしながら作りました。
編集部
すると、自社開発なんですね。
佐々木
そうです。
編集部
ピアプロは主にイラストの投稿で利用されますよね。
佐々木
すごい多いですね。うちとしても「絵」を取り扱うのは初めての経験なので、現状は試行錯誤の方が大きくて、あっちにぶつかり、こっちにぶつかりとなんとかやってます。
VOCALOIDを使った楽曲や歌詞、イラストを共有できるサイト「ピアプロ」には多数の投稿が寄せられている
編集部
初の領域、しかもCGMサイトに挑戦するのはどんな印象なんでしょうか。
佐々木
そうですね…。
例えば歌を作っている人、人気のある曲でニコニコ動画で何回も再生されるのも嬉しいでしょうし、最終的にお金につながるというのを目指しているという方もたくさんいるとは思うんです。しかし、一方であまり再生されない楽曲があるのも確かです。
編集部
ええ。
佐々木
でも、そういった曲が人気曲に比べて劣っているなどという訳ではないと思います。人間の価値観は多様で、音楽的にマニアックで人気が限られる曲や、リスナーが、嗜好性の高い歌詞や作詞家の人柄に深い共感を覚えて、生涯忘れられないような曲に出会う事もある。たとえばピアプロでは、「この曲を聞いたらイメージが浮かんだんで、絵にしました!」というイラストが寄せられたりするんです。
編集部
それは曲を作った人にとっては、ものすごく嬉しいですね。
佐々木
そうやってセンシティブな表現や、温もりのある歌世界との出会いがスペシャルになってほしいなと。感受性と感受性が、惹かれあい、結びついていくのは場を作っている側も幸せです。私たちとしても、そういう場面に出逢えると、ピアプロをやってホントにやってよかったなと思いますね。
編集部
いい雰囲気ができあがってるんですね。
佐々木
こういう「イメージの連鎖」っていうのは、ニコニコ動画に限らず、ピアプロにアップされるイラストや楽曲でも起きてます。そういう連鎖に加われることが楽しいというのもあるだろうし、例えば自分の曲にあんまり人気がなくても「初音ミク好きの輪」に参加している感を味わえるところもあるんじゃないでしょうか。イラスト1枚でも、1曲作るだけでも、すそ野でみんなとつながっている感が楽しいんじゃないかなと。
編集部
自分なりの加わり方ができる。
佐々木
そうです。そんな初音ミク好きなら何でも許されるという心理的な部分はあると思います。まあちょっとだけ構造が宗教的だなあと思う面はありますけど(笑)

コミュニティ運営の難しさ

編集部
逆にコミュニティで問題が起きたときはどう対処されているんですか。
佐々木
現状は違反があれば規約にのっとって対応してます。違反作品を見つける方法の中で、ユーザーさんに報告してもらったり意見してもらったりなど、皆さんに助けてもらっている部分がありますね。
編集部
ピアプロのようなサイトの場合、ガイドライン決めは難しい問題だと思います。
佐々木
とても難しいですね。ガイドライン的な線引きはどこまでやるかよく考えています。人が増えて様々な人が出てくると、ガイドラインをどうしてもキツキツにしていかなきゃいけないみたいなムードになってしまうんですが、そういうところは最後の最後まで悩みたいと思ってます。それはデリケートなもので、ちょっとした場のムードの変化で、ユーザー様方、全体の温度が変わってしまうので。
編集部
表現の自由と運営方針の難しさですね。
佐々木
例えば性的な表現、あまりどぎついものではなく「セクシー」と言えるようなものもありますよね。そういうのがあった方が盛り上がったりするかもしれないし、1つの表現手段だとは思うんです。だから全部禁止したいわけじゃない…んですけど、でもピアプロには小中学生のイラスト投稿があるという現状もあって。
編集部
小中学生も投稿しているんですか?
佐々木
ええ。だから、あっちこっち考えなきゃいけないことがあるんですよね。社長はいつも「あーっ!!」と頭くしゃくしゃにしながら悩んでいるようですけど(笑)
編集部
問題にぶつかったときは社内で話し合われるんですか?
佐々木
担当者レベルで4、5人で打ち合わせてますね。これはどうしようって。

VOCALOID第3弾は一味違う?

編集部
VOCALOIDは、もっと「人間らしい歌声」に近づけられるんでしょうか。

次のページ
VOCALOIDはもっとよくなるのか

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この記事の著者

飯岡 幹雄(編集部)(イイオカ ミキオ)

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/2265 2008/09/05 11:03

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