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話題のあの人にインタビュー!

クリプトン佐々木氏に聞く 「初音ミクムーブメントの当事者が今思うこと」

あの熱狂と、ピアプロ、そしてキャラクター・ボーカル・シリーズ第3弾


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VOCALOIDはもっとよくなるのか

佐々木
うーん…。波形レベルでの磨き込みにより、現状の初音ミクより、リアルに調整されたVOCALOID2は、時間をかければ作れると思います。ただ、それ以上、人間に近づけようとした場合、すごく動作が重くなるという問題があります。個人的な見解ですが、サンプリング音源的な方法論として、例えばデータベースを多重化してランダムで揺らぎを出すだとか、あるにはあるのですが。
編集部
なるほど。
佐々木
あとは、音の長さを半分にしたり伸ばしたりだとかっていう「タイム・コンプレッション/エクスパンド/ピッチシフト」の技術は音楽製作ソフトが進化していくのに重要な要素ですし、さらに全体的に向上しつつあるので、進化していくであろうその技術がVOCALOIDに反映されれば、ある程度、音質的にも良くなると思います。
編集部
逆に設定が大変になったりしないんでしょうか。
佐々木
ほとんどのサンプリング系音源…VOCALOIDもそうですが、煩雑な設定を全て剥き出しにせず、内部的に処理している部分が当然あります。なので、そこまでチューニングが難しくなることはないと思います。ただ、細かい要素を持ち込めば持ち込むほど、敷居がとても高くなると。DBも何パターンか作るとなると、金額も数倍になってしまうでしょうから、そうなってくると「VOCALOID」という製品の特性からするとどうなんだと。
編集部
価格とのバランスもあるんですね。
佐々木
ええ。それ以外にも、単純にパソコンのCPUやメモリ性能があがっていくことでやれることが広がるということもあります。また、VOCALOIDを作る際に使っている開発ツールがあって、録音した音をコンバートしたり、合成できるようにデータベース化するソフトなんですが、それも今も細かくバージョンがあがっているんですよ。そっちが良くなればVOCALOIDの性能があがっていくこともあるので、これも重要なポイントだったりしますね。

気になるキャラクター・ボーカル・シリーズ第3弾は

編集部
VOCALOID2 キャラクター・ボーカル・シリーズ第3弾(CV03)は製作中でしょうか?
佐々木
CV03より、先に発表されるもう一つ重要な仕事をかかえているのですが、CV03も進行中です。
編集部
いつ頃リリースされる予定ですか?
佐々木
今年上半期には出したいですね。
VOCALOID2 キャラクター・ボーカル・シリーズは「初音ミク」「鏡音リン・レン」に加わる第3弾のリリースが予定されている
佐々木
実はVOCALOID2の作り方を再検証しているんです。VOCALOIDの製作に関しては一から計算し直してて、もうちょっと精度の高いものにしたいなということで、試行錯誤しているところなんです。
編集部
というと?
佐々木
VOCALOIDは、エンジンの中に音声データが入ってて、そこに音声データを入れてあげれば一応製品としては完成するんです。ですが、音声合成ソフトなので接合部がうまく会わないとギリッという音が入ってしまったりとか、ノイズ成分が伸びてしまったりとか、そういうことがあるんです。それが起こらないような、もっと良い方法がないだろうかと検証している段階です。
編集部
単純に音を差し替えただけではない製品になるということですね。
佐々木
自分なりにどうしたらいいんだろうと考えてて。どこにどういう音をはめていくか、というところからブラッシュアップしながら、「ここにこういう音を入れた方がキレイになるんじゃないか」とかいろいろ試しています。本当だったら今のまま音声データベースを差し替えていこうかなと思ってたんですが、ちょっと一度整理したかったんで。それが完了すればユーザーさんの手元に届けられると思います。

ユーザーへの恩返しがしたい

佐々木
本来、ゲームやコンテンツは、発売元が全部を用意して「これを楽しんでください」ということが普通だったと思うんです。ところがVOCALOIDはそうでなくて、コンテンツは皆さんが用意してくださっている。そしていろんな相乗効果があって、注目されるとか、製品になって売れるとか、人同士を結びつけたりとか、目に見える形で成果が現れている。
そこを「感謝してます」って言ってしまうと一言になってしまうんですが、私たちとしてはそういう状況を作ってもらえたことに、どうお返しできるか考えていきたいと思っているんです。
編集部
ピアプロがその1つですね。
佐々木
ええ。企業の枠組みという中でやれることは限られているんですが、できるだけ利益ベースではなく、みんなが楽しんでいる状態を続けていけるような仕組みなり努力なり演出なりを続けていきたいと思います。
編集部
さらなる取り組みを楽しみにしています。本日はありがとうございました。

 

 

 

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この記事の著者

飯岡 幹雄(編集部)(イイオカ ミキオ)

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/2265 2008/09/05 11:03

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