レスキューロボット工学の考察
このように、これまでの10年間でレスキュー工学という言葉を作って研究が始まりました。
残念ながらまだ、「“これがレスキューロボットです”と言えるものはできていない」と大須賀氏は言います。それでは何ができたのかというと、社会の中で“レスキュー”という言葉が通用するようになり、やっと普通の研究領域に入ったということです。ここから本格的に、レスキュー工学の研究がスタートするのだと大須賀氏は言います。
これからの10年間ですべきこととして、大学等で研究を進めることも当然ですが、必ず災害現場とリンクしなくてはならないと、大須賀氏は言います。さまざまなところでレスキューロボットを使ってもらい、実用になるのかどうか検証を続けていかなくてはなりません。大大特は文科省が中心でしたが、これからは国交省や総務省、経産省、そして民間等と協調していく必要があると考えているそうです。
そして、もっと重要なこととして大須賀氏は、「私たちの世代が頑張っているだけではいけない。子ども達にこういう技術が非常に大事であることを知ってもらうことも必要である」ことを訴えています。
米国では、消防士が子ども達のヒーローで憧れの職業になっています。日本でも同じようになったらいい。阪神大震災後に、子ども向けの漫画や戦隊モノでレスキューを題材にしたものが作られました。タミヤからは、レスキュークローラーというリモコンロボットも発売されています。こうした漫画や玩具なども使って、子ども達にレスキューに関する研究が大事だということを啓蒙していこうと考えているそうです。
レスキュー工学では、非常に高いレベルの研究にチャレンジしているわけですが、そのためにはそれを支える人材が必要で啓蒙を継続することが大事だということです。
大須賀氏は、「レスキューロボットの研究はまだ始まったばかり。たくさんの若い人達がこの分野にはいってきて、本当に役に立つレスキューロボットを開発してほしい」と講演を締めくくりました。
