開発環境の準備と開発環境の変更点
Silverlight 3も1や2と同様に、メモ帳さえあればSilverlightのコンテンツを作成することは可能なのですが、やはり業務アプリケーションを開発しようとしたり、アニメーションなどのリッチな機能を利用するためには開発環境のサポートが重要になります。現在のところマイクロソフトが提供する環境として、デザインを担当するExpression Blend 3とロジックを記述するVisual Studio 2008(Express Edition含む)が利用できます。
インストールに必要な各種ファイルは次のリンクからダウンロードできます。
- Visual Studio 2008 SP1以降(Express Editionでも可)
- Silverlight 3 Tools(ToolsにはSDKが含まれています)
- Silverlight 3 SDK
- Silverlight 3 ドキュメント
- Expression Blend 3 試用版
さて、実際にSilverlight 3を構築する上での注意点を挙げておきましょう。
ほかのバージョンのToolsをインストールしていた場合の注意
Silverlight 3のToolsやSDKはSilverlight 3 Tools Betaからのアップグレードをサポートしていません(Silverlight 2 Toolsがインストールされている場合は、Silverlight 3 Toolsのインストール時に自動的にアンインストールが行われます)。
もし既にBeta版のSilverlight 3 Toolsがインストールされている場合は、正式版のToolsをインストールする前に必ずアンインストールを行う必要があります。
筆者はアンインストールを行わず正式版をインストールしたため、一時期、Visual StudioのSilverlight関連のUIがめちゃくちゃになったことがあります。もちろんアンインストールしてから改めてインストールを行ったところ正常に表示されるようになりました。
特にSilverlight 3 ToolsのBeta版が登場したときに、このブログにあるようなSilverlight 2 Toolsとの切り替えをするためのバッチファイルを利用して切り替えを行っていた場合は注意が必要です。
図2はSilverlightプロジェクトを新規作成したときにSilverlightをホストするWebサイトの設定を行う画面です。ベータ版のSilverlight 3 Toolsをアンインストールせずに正式版をインストールしたところ、本来表示されるはずのWebサイトのプロジェクトの設定などが表示されていません。
Silverlight 3 Toolsのインストール
Silverlight 3 Toolsをインストールすることで、Visual StudioのSilverlight関連のテンプレートや設定情報の入力画面などを利用することができます。Silverlight 3 Toolsのインストール自体はウィザードに沿ってインストールを行えば、特に問題なくインストールを行うことができます。ただし、Silverlight 3 Toolsを使った開発を行う場合、インストール後に注意するべきことが一つあります。
Silverlight 3は2009年9月27日現在で、Silverlight 3 GDR2(3.0.40818.0)が最新バージョンとなっています。 しかし、Silverlight 3 ToolsはGDR2よりも古いSilverlight 3の開発ランタイムを使用しているため、Silverlight 3 Toolsのインストール後に最新の開発ランタイムを上書きしてインストールする必要があります。 Silverlight 3 Toolsに最新の開発ランタイムをインストールするには次の2つの方法があります。
- Silverlight Tools インストール後にGDR2用のSilverlight 3 ランタイム、またはソフトウェア開発者キットをインストールする。
- Silverlight Tools インストール後にExpression Blend 3(日本語版)をインストールする。
どちらもはじめにSilverlight 3 Toolsをインストールする必要があることに注意してください。 Silverlight 3 Toolsと実行環境のランタイムのバージョンが異なると、デバックができなくなったりブレークポイントにとまらないといった問題が発生する可能性があります。 また、開発ランタイムを単体で追加インストールする場合は、Silverlight Toolsに含まれるランタイムを一度削除した後にインストールを行う必要があります。
インストールすると、Silverlight 3で新しく登場したSilverlight ナビゲーションアプリケーションのテンプレート(図3)や、オフライン機能の設定(図4)などをVisual StudioのUIから設定することができます。
ナビゲーションアプリケーションを利用することで、サイドメニュー+メイン画面といったWebアプリケーションのような構成の画面をSilverlightで簡単に作成することができます。ナビゲーションアプリケーションは連載後半で詳しく触れていきます。
Beta版までは直接XMLを編集する必要がありましたが、正式版ではUIでアプリケーションの設定を行えるようになりました。ブラウザー外でのSilverlightアプリケーションの実行は次回以降で詳しく触れます。