ジャンプリストの機能の概要
Windows 7のジャンプリストは、Windowsの簡素化されたミニバージョンの[スタート]メニューと考えることができます。しかも、ジャンプリストの内容はアプリケーションごとに変化します。Windows 95以降のすべてのバージョンのWindowsと同様に、タスクバーのアイコンを右クリックするとポップアップメニューが表示されます。Windows 7のジャンプリストは、このメニューを進化させたものです。
実際のところ、何も特別なことをしなくても、Windows 7ではタスクバーにアプリケーションのアイコンがあれば、そのアプリケーションに対応するポップアップメニューが表示されます(図1を再度参照)。アプリケーションをタスクバーに常に表示する(固定する)ように設定してある場合、デフォルトのメニューにはその設定を解除するオプションや、アプリケーションを起動するオプションが表示されます。アプリケーションが実行中の場合、デフォルトのメニューには、プログラムをタスクバーに常に表示するオプション、ウィンドウを閉じるオプション、または別のインスタンスを起動するオプションが表示されます。
レジストリでアプリケーションに特定のファイルの種類(ファイルの拡張子)が関連付けられている場合(例えばWordなら.doc、.docxなど)、Windowsはそのアプリケーションで最近開かれたファイルのリストを収集します。この処理は、アプリケーションでWindowsのコモンファイルダイアログを使ってファイルを開いたとき、またはAPI関数SHAddToRecentDocs
によってファイルのオープンがWindowsに通知されたときに自動的に行われます。また、使用頻度が非常に高いファイルもWindowsによって追跡されています。
アプリケーションでは2種類の既知のリストからファイルを開くことができます。1つは「最近使ったファイル」のリスト、もう1つは「頻繁に使われているファイル」のリストです。両者の違いは、「最近使ったファイル」のリストには最近開いたファイルが(例えば5個)表示されるのに対し、「頻繁に使われているファイル」のリストには過去に最も頻繁に使用したファイル群が表示されることです。どちらのリストをジャンプリストに表示するか、あるいはどちらも表示しないかは、アプリケーションで制御できます。
これらの既知のリストには、目的地(名詞)が表示されます。目的地は常にファイルです。従って、そのファイルの種類に対応するファイルハンドラが登録されている必要があります。Windowsは、ファイルをリストに表示する前に、ファイルが利用可能かどうかも確認します。
ジャンプリストのもう1つの重要な部分であり、本稿の主題となっているのが、動詞のサポートです。動詞を使うと、アプリケーションでジャンプリストにカスタムコマンドを自由に追加することができ、ユーザーは実行中のアプリケーションをすばやく操作できるようになります。名詞と異なり、動詞ではファイルの拡張子をアプリケーションに関連付ける必要はありません。
動詞はアプリケーションの機能を呼び出すファイルベースのコマンドで、特定のコマンドを実行するようにアプリケーションに指示します。例えば、販売アプリケーションを作成した場合に、ジャンプリストの動詞で新しい注文を開始することや、顧客を検索することなどができます。これらのリストはアプリケーションごとにカスタマイズされるので、すべてのアプリケーションが独自の動詞のセットを持つことになります。